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「むくみの原因」は”塩分”だった? 足・顔がパンパンになる本当の理由を医師が解説

 更新日:2025/11/21
塩分摂取とむくみの発生メカニズム

むくみ(浮腫)は、塩分過剰摂取によって比較的短期間で現れる症状の一つです。多くの方が経験したことのあるこの症状は、体内の水分バランスの乱れを示す重要なサインとなります。ここでは、浸透圧と体液貯留の関係から、慢性的なむくみが健康に与える影響まで詳しく解説します。単なる一時的な不調と思われがちなむくみですが、背景に深刻な疾患が隠れている可能性もあるため、正しい知識を持つことが大切です。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

塩分摂取とむくみの発生メカニズム

むくみ(浮腫)は、塩分過剰摂取によって比較的短期間で現れる症状の一つです。多くの方が経験したことのあるこの症状は、体内の水分バランスの乱れを示す重要なサインとなります。

浸透圧と体液貯留の関係

むくみが生じる主要なメカニズムは、体内のナトリウム濃度上昇に伴う浸透圧の変化です。塩分を多く摂取すると、血液中のナトリウム濃度が高まり、これを薄めようとして身体は水分を保持しようとします。この防御反応により、本来であれば尿として排出されるべき水分が体内に留まり、組織間に余分な水分が蓄積します。 特に重力の影響を受けやすい下肢では、立位や座位を長時間続けることで組織間への水分移動が促進され、足首やふくらはぎのむくみとして自覚されることが多くなります。朝起きた時には顔がむくみ、夕方になると足がむくむという日内変動も、体位や活動による水分移動を反映しています。 心臓や腎臓の機能が正常であれば、一時的なむくみは休息や塩分制限によって改善する場合があります。しかし、繰り返しむくみが生じる場合には、背景に何らかの病的状態が隠れている可能性も考慮する必要があります。症状が続く場合は、医療機関への相談をおすすめします。

慢性的なむくみと健康への影響

単なる一時的なむくみであれば大きな問題にはならない場合が多いですが、慢性化すると生活の質を低下させるだけでなく、より深刻な疾患の前兆である可能性があります。持続的な体液貯留は、血管系や心臓への負担を増大させ、循環器疾患のリスクを高める可能性が指摘されています。 また、組織に長期間水分が滞留することで、皮膚の弾力性が失われ、感染症のリスクも上昇することがあります。特に高齢者や糖尿病を抱える方では、むくみによって皮膚のバリア機能が低下し、蜂窩織炎などの皮膚感染症を起こしやすくなることが知られています。 女性では月経周期に伴うホルモン変動によってむくみやすくなる時期があり、この時期に塩分を控えることで症状を軽減できる場合があります。生理前の体重増加の一部も、塩分摂取によって助長される水分貯留が関与しています。

まとめ

塩分摂取と健康リスクの関係性について、摂取量の目安から、むくみ・高血圧・腎臓病・脳梗塞といった具体的な疾患との関連まで解説しました。日本人の平均塩分摂取量は目標値を大きく上回っており、これが循環器疾患や腎疾患の発症リスクを高める要因の一つとなっています。適切な減塩は、これらの疾患の予防と進行抑制に効果をもたらす可能性があります。日常生活での工夫を積み重ね、継続的に実践することが重要です。段階的な減塩、調味料の工夫、加工食品の選択、家庭血圧の測定など、できることから始めましょう。 症状や不安がある方、既に疾患をお持ちの方は、早めに専門医療機関を受診し、個別の状況に応じた指導を受けることをおすすめします。医師や管理栄養士と相談しながら、自分に合った塩分管理の方法を見つけることが、長期的な健康維持への第一歩となります。

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