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「メタボリックシンドローム」を予防するにはどんな「運動習慣」を取り入れたらいいの?

 公開日:2025/11/22
運動習慣によるメタボリックシンドロームの予防と管理

生活習慣の改善によって、メタボリックシンドロームは予防・改善が可能です。特に運動は、食事療法と並ぶ中心的な対策として注目されています。ウォーキングや筋力トレーニングなどを組み合わせ、日常生活の中で無理なく続ける工夫が大切です。予防と改善、それぞれに適した運動法を紹介します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

運動習慣によるメタボリックシンドロームの予防と管理

メタボリックシンドロームの診断基準を満たす前の段階、すなわち予備軍の時期から運動習慣を取り入れることで、発症を未然に防ぐことが可能です。すでに診断されている方も、適切な運動プログラムによって改善が期待できます。

予防のための運動プログラム

メタボリックシンドロームの予防には、日常生活における身体活動量の増加が基本となります。通勤時の歩行、階段の利用、家事労働なども含めて、1日の総活動量を高めることが推奨されます。具体的には、1日8,000歩以上の歩行を目標とし、そのうち20分程度は速歩きなどの中強度運動を組み込むと効果的です。

週に3回以上、30分程度の有酸素運動を実施することで、内臓脂肪の蓄積を抑え、インスリン感受性を維持できます。運動の種類は、ウォーキング、ジョギング、水泳、エアロビクスなど、自分が続けやすいものを選ぶことが重要です。また、週2回程度の筋力トレーニングを加えることで、筋肉量の維持と基礎代謝の向上が図れ、長期的な体重管理がしやすくなります。ただし、運動を始める際には、関節への負担や心血管系への影響を考慮し、無理のない範囲で段階的に強度を上げていくことが大切です。

既存のメタボリックシンドロームへの運動療法

すでにメタボリックシンドロームと診断されている方に対しては、医師や運動指導士の指導のもと、個別化された運動プログラムが推奨されます。運動開始前には、心電図や血圧測定などで心血管系のリスク評価を行い、安全に運動できる強度を確認します。

運動療法では、有酸素運動を中心に、週150分以上を目標とします。運動強度は、最大心拍数の50〜70%程度を目安にし、自覚的には「ややきつい」と感じる程度が適切です。運動直後と数時間後に血糖値が低下しやすくなるため、低血糖のリスクがある方は、運動のタイミングや補食について医師と相談する必要があります。運動習慣の継続によって、一定の割合で内臓脂肪面積や血液検査の値に改善が見られることが報告されています。生活習慣の改善と併せて取り組むことで、より高い効果が期待できます。

まとめ

運動習慣は、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、フレイルといった幅広い健康課題に対して、予防と改善の両面で効果を発揮する可能性があります。適切な運動は、身体の生理機能を向上させ、疾病リスクを低減し、生活の質を高める可能性があります。ただし、効果の現れ方には個人差があり、年齢や健康状態、遺伝的要因によっても異なります。

年齢や健康状態に応じた運動プログラムを、医師や専門家と相談しながら開始し、無理なく継続することが重要です。運動習慣の確立は、健康寿命の延伸と自立した生活の維持につながる、効果的な手段の一つといえます。運動を始める前には、医師による総合的な評価を受け、安全に実施できる運動の種類や強度を確認することが推奨されます。

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