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薬を急に飲むと「痛風発作」が悪化する? 治療開始時の正しい減量・増量ルール

 公開日:2025/11/13
尿酸値の正常値と検査、薬物療法

健康維持のためには、尿酸値の正常範囲を知り、定期的な検査で自身の状態を把握することが大切です。生活改善だけでは十分な効果が得られない場合や痛風発作を繰り返す場合には、薬による治療が選択肢となります。本章では、尿酸値の基準値や検査の方法、薬物療法の種類と適応について、正しい知識をわかりやすく解説します。

浅川 貴介

監修医師
浅川 貴介(医師)

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【経歴】
2004年 私立海城高等学校卒業
2010年 私立東邦大学医学部卒業 医師免許取得
2012年 公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年 東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
2018年 医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年 浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医

尿酸値の正常値と検査、薬物療法

尿酸値の正常範囲を知り、定期的に検査を受けることは、健康管理の基本です。自分の尿酸値を把握し、適切な対応を取ることで、将来的な健康リスクを減らすことができます。 また、生活習慣の改善だけでは尿酸値が十分に下がらない場合や、痛風発作を繰り返す場合には、薬物療法が検討されます。薬の種類や作用機序、適応について理解しておくことは、治療を安全に進めるために重要です。

尿酸値の基準値と性別による違い

尿酸値の正常範囲は、一般的に血液中の尿酸濃度で示され、単位はmg/dLで表されます。成人男性の場合、正常値は3.7mg/dLから7.0mg/dL程度とされています。成人女性の場合は、2.5mg/dLから7.0mg/dL程度です。女性は女性ホルモンの働きによって尿酸の排出が促進されるため、閉経前は男性よりも尿酸値が低い傾向にあります。閉経後は女性ホルモンの分泌が減少するため、尿酸値が上昇しやすくなります。尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断され、痛風や合併症のリスクが高まります。ただし、痛風発作が起こるかどうかは個人差があり、尿酸値が高くても発作が起こらない方もいます。一方で、尿酸値が正常範囲内でも、過去に痛風発作を経験した方は注意が必要です。尿酸値は体調や食事、薬の影響によって変動するため、定期的に測定することが大切です。

健康診断での尿酸値検査の重要性

尿酸値は、健康診断や人間ドックで測定される血液検査の項目の一つです。自覚症状がない段階で尿酸値の異常を発見できるため、定期的に検査を受けることが推奨されます。尿酸値が高いと指摘された場合には、生活習慣の見直しや食事の改善を始めることで、将来的な痛風や合併症のリスクを減らすことができます。検査結果をもとに、医師や管理栄養士に相談し、個別のアドバイスを受けることも有効です。尿酸値が基準値を大きく超えている場合や、過去に痛風発作を経験したことがある場合には、医療機関を受診し、薬物療法を含めた治療を検討する必要があります。早期に対処することで、健康を維持し、生活の質を保つことができます。定期的な検査と適切な管理を習慣にすることが、長期的な健康維持につながります。

尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬

尿酸値を下げる薬には、大きく分けて二つのタイプがあります。一つは尿酸生成抑制薬で、体内での尿酸の生成を抑える働きがあります。代表的な薬剤としては、アロプリノールやフェブキソスタットなどがあります。これらの薬は、プリン体の代謝に関わる酵素を阻害することで、尿酸の生成を減らします。もう一つは尿酸排泄促進薬で、腎臓からの尿酸の排出を促進する働きがあります。代表的な薬剤としては、ベンズブロマロンやプロベネシドなどがあります。これらの薬は、腎臓の尿細管での尿酸の再吸収を抑えることで、尿中への排出を増やします。どちらのタイプの薬を使用するかは、患者さんの尿酸値の原因や腎機能の状態、合併症の有無などを考慮して、医師が判断します。薬物療法を行う際には、定期的に血液検査を受け、尿酸値や腎機能を確認することが重要です。

薬物療法を開始する目安と注意点

薬物療法を開始する目安としては、尿酸値が8.0mg/dL以上で高血圧や糖尿病、腎障害などの合併症がある場合や、9.0mg/dL以上の高値が続く場合、過去に痛風発作を繰り返している場合などが挙げられます。薬物療法を開始する際には、急激に尿酸値を下げると、かえって痛風発作を誘発することがあるため、少量から開始し、徐々に増量することが一般的です。また、薬物療法を行っている間も、食事療法や生活習慣の改善を並行して行うことが重要です。薬だけに頼るのではなく、総合的なアプローチによって、尿酸値を安定させることが目標となります。薬の副作用として、肝機能障害や腎機能障害、皮膚症状などが生じることがあるため、定期的な検査と医師の診察を受けることが必要です。自己判断で薬の服用を中止したり、量を調整したりすることは避け、必ず医師の指示に従いましょう。

まとめ

尿酸値の管理は、食事の見直しと生活習慣の改善を基本とし、必要に応じて医療機関のサポートを受けることで、効果的に行うことができます。プリン体の多い食品を控え、水分を十分に摂取し、適正体重を維持することが重要です。痛風や合併症のリスクを減らすためには、定期的な検査で尿酸値をチェックし、早期に対処することが大切です。自分の健康状態を把握し、専門家と相談しながら、長期的に取り組んでいきましょう。

この記事の監修医師

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