日常的に口にする飲み物は、尿酸値に大きな影響を及ぼします。アルコール類や糖分の多い清涼飲料水は、プリン体や果糖の含有により体内の尿酸生成を加速させる代表的な要因です。特にビールは注意が必要とされています。本章では、飲み物が尿酸値に与える影響を詳しく見ながら、痛風リスクを減らすための飲料選びについてご説明します。
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【経歴】
2004年 私立海城高等学校卒業
2010年 私立東邦大学医学部卒業 医師免許取得
2012年 公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年 東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
2018年 医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年 浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医
アルコール飲料と甘い飲み物が尿酸値に与える影響
飲み物の選択も尿酸値管理において重要です。アルコール飲料や糖分の多い飲み物は、尿酸値を上昇させる要因となります。日常的に摂取する飲み物を見直すことで、尿酸値の改善につなげることができます。
ビールとアルコール類のプリン体含有量
アルコール飲料の中でも、ビールは特にプリン体が多く含まれています。ビールの原料である麦芽にプリン体が豊富に含まれているためです。さらに、アルコール自体が体内での尿酸の生成を促進し、腎臓からの排出を妨げる作用があります。そのため、ビールを頻繁に飲む習慣がある方は、尿酸値が上昇しやすい傾向にあります。近年ではプリン体カットやプリン体ゼロを謳うビールも販売されていますが、アルコール自体の影響は残るため、飲む量には注意が必要です。日本酒や紹興酒もプリン体を含んでいますが、ビールほど多くはありません。焼酎やウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒はプリン体をほとんど含みませんが、前述のとおりアルコール自体が尿酸値に影響を与えるため、適量を守ることが大切です。飲酒の際には、水や麦茶などの水分を併せて摂取し、体内の尿酸濃度が高くならないよう配慮しましょう。
糖分の多い飲料が尿酸値を上げる仕組み
清涼飲料水やジュース、スポーツドリンクなどに含まれる果糖は、尿酸値を上昇させる要因の一つです。果糖が体内で代謝される過程で、尿酸の生成が促進されることが知られています。また、糖分の過剰摂取は肥満や内臓脂肪の蓄積を招き、これが尿酸値の上昇につながります。特に、缶コーヒーやエナジードリンク、炭酸飲料などには予想以上に多くの糖分が含まれていることがあります。日常的にこれらの飲み物を摂取している方は、水や無糖のお茶に切り替えることで、尿酸値の改善が期待できます。果物に含まれる果糖も同様ですが、果物には食物繊維やビタミンが豊富に含まれているため、適量であれば問題ありません。ただし、果物ジュースは果糖が濃縮されており、食物繊維も少ないため、過剰摂取には注意が必要です。
まとめ
尿酸値の管理は、食事の見直しと生活習慣の改善を基本とし、必要に応じて医療機関のサポートを受けることで、効果的に行うことができます。プリン体の多い食品を控え、水分を十分に摂取し、適正体重を維持することが重要です。痛風や合併症のリスクを減らすためには、定期的な検査で尿酸値をチェックし、早期に対処することが大切です。自分の健康状態を把握し、専門家と相談しながら、長期的に取り組んでいきましょう。