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「前立腺肥大症」になりやすい“生活習慣”を医師が解説 ストレスにも関係が!?

 公開日:2025/11/15
生活習慣と前立腺肥大症のリスク

生活習慣は前立腺肥大症の発症リスクや症状の進行に影響を与えることがわかっています。肥満や運動不足は前立腺肥大症のリスクを高める要因であり、定期的な運動は代謝を改善し炎症性サイトカインの産生を抑制する効果が期待されます。心理的ストレスも症状に大きく影響するため、リラクゼーション技法や趣味活動などによるストレス管理が重要です。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

生活習慣と前立腺肥大症のリスク

生活習慣は前立腺肥大症の発症リスクや症状の進行に影響を与えることがわかっています。肥満は前立腺肥大症のリスク因子として広く認識されています。

運動と食生活の影響

運動不足も前立腺肥大症のリスクを高める要因です。定期的な運動は体重管理に役立つだけでなく、骨盤底筋の機能維持や血流改善を通じて前立腺の健康に寄与します。特に有酸素運動は代謝を改善し、炎症性サイトカインの産生を抑制する効果が期待されます。 食生活も重要な要素です。高脂肪食や赤身肉の過剰摂取は前立腺肥大症のリスクを上昇させる可能性が指摘されています。一方で、野菜や果物、特にトマトに含まれるリコピンや、大豆製品に含まれるイソフラボンは、前立腺の健康維持に有益である可能性が研究されています。 アルコール摂取と前立腺肥大症の関係については、複雑な側面があります。適度な飲酒は前立腺肥大症のリスクに大きな影響を与えないとする研究がある一方で、過度の飲酒は排尿症状を悪化させることが知られています。アルコールは利尿作用により尿量を増加させ、また膀胱の刺激症状を引き起こす可能性があります。

ストレスと精神的要因への対応

心理的ストレスは前立腺肥大症の症状に大きく影響します。ストレスは自律神経のバランスを乱し、交感神経の過度な緊張を引き起こします。これにより前立腺や尿道の平滑筋が収縮し、排尿障害が悪化する可能性があります。 不安や抑うつ状態は、排尿症状の自覚を強める傾向があります。精神的に緊張している状態では、膀胱の知覚過敏が生じやすく、少量の尿でも強い尿意を感じることがあります。また、睡眠障害により夜間頻尿がさらに悪化するという悪循環に陥ることもあります。 ストレス管理は前立腺肥大症の症状緩和に重要です。リラクゼーション技法、適度な運動、趣味活動などによりストレスを軽減することで、症状の改善が期待できます。症状による日常生活への影響が精神的負担となっている場合は、泌尿器科医と相談しながら、必要に応じて心療内科や精神科との連携も検討されます。

まとめ

前立腺肥大症は加齢に伴い多くの男性が経験する疾患ですが、適切な知識と早期の対処により、生活の質を維持することが可能です。排尿症状や性機能への影響は、個人の生活に深刻な影響を及ぼす可能性がありますが、現代医療では薬物療法から低侵襲手術まで多様な選択肢が用意されています。症状に気づいた段階で泌尿器科を受診し、専門医と相談しながら適切な治療方針を立てることをおすすめします。定期的な検診により早期発見・早期治療につなげることが、健康な生活を維持する鍵となります。

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