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「前立腺肥大症」の人に見られる“行動・習慣”を医師が解説 『緊急受診』が必要な症状とは?

 公開日:2025/11/14
「前立腺肥大症」の人に見られる“行動・習慣”を医師が解説 『緊急受診』が必要な症状とは?

前立腺肥大症の症状を客観的に評価する方法として、国際前立腺症状スコアが広く用いられています。日常生活の中での小さな変化に気づくことが重要で、トイレに行く回数が増えた、夜中に目が覚める回数が増えたなど、些細な変化も見逃さないようにしましょう。完全に尿が出なくなった場合や大量の血尿などは緊急受診が必要です。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

症状の自己チェック方法と受診のタイミング

前立腺肥大症の症状を客観的に評価する方法として、国際前立腺症状スコアが広く用いられています。

日常生活で気づく症状の変化

前立腺肥大症の症状は徐々に進行するため、日常生活の中での小さな変化に気づくことが重要です。トイレに行く回数が以前より増えた、夜中にトイレで目が覚める回数が増えた、尿の出始めまでに時間がかかるようになったなど、些細な変化も見逃さないようにしましょう。 外出時にトイレの場所を事前に確認する習慣がついた、映画や会議中にトイレに行きたくなることが増えた、車の長距離運転で以前より頻繁に休憩が必要になったなども、症状の進行を示すサインとなります。これらの行動変容は、症状が生活の質に影響を与え始めている証拠です。 排尿日誌をつけることも、症状の客観的な把握に役立ちます。24時間の排尿回数、1回あたりの排尿量、夜間排尿回数などを記録することで、症状の程度や変化を正確に把握できます。この記録は医師の診察時にも有用な情報となります。 具体的な質問内容は、残尿感の頻度、2時間以内の再排尿の頻度、尿線途絶の頻度、尿意の我慢しにくさ、尿の勢いの弱さ、排尿開始時のいきみの必要性、夜間排尿回数などです。これらの項目に答えることで、自身の症状の程度を把握できます。

緊急受診が必要な症状

いくつかの症状は緊急の医療処置を必要とします。完全に尿が出なくなった場合は、急性尿閉の可能性があり、速やかな導尿処置が必要です。激しい下腹部痛を伴い、膀胱が大きく膨らんでいる状態では、数時間以内の対応が求められます。 大量の血尿や、血の塊が混じる血尿も緊急性の高い症状です。前立腺表面からの出血が持続している可能性があり、貧血や血圧低下を引き起こすリスクがあります。また、高熱を伴う排尿症状は、尿路感染から敗血症に進行する危険性があるため、早急な抗生物質治療が必要となります。 腰痛や背部痛を伴う排尿障害は、腎機能障害の兆候である可能性があります。慢性的な尿路閉塞により腎臓に尿が逆流し、水腎症を起こしている場合があります。これらの症状がある場合は、夜間や休日であっても救急外来を受診することが推奨されます。 受診のタイミングとしては、症状スコアが8点以上の場合、日常生活に支障を感じる場合、血尿や激しい痛みなどの急性症状がある場合が挙げられます。また、症状が軽度であっても、定期的な健康診断の一環として泌尿器科での検査を受けることで、早期発見と適切な管理が可能になります。

まとめ

前立腺肥大症は加齢に伴い多くの男性が経験する疾患ですが、適切な知識と早期の対処により、生活の質を維持することが可能です。排尿症状や性機能への影響は、個人の生活に深刻な影響を及ぼす可能性がありますが、現代医療では薬物療法から低侵襲手術まで多様な選択肢が用意されています。症状に気づいた段階で泌尿器科を受診し、専門医と相談しながら適切な治療方針を立てることをおすすめします。定期的な検診により早期発見・早期治療につなげることが、健康な生活を維持する鍵となります。

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