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「前立腺肥大症」の症状をご存じですか? “注意すべき症状”も医師が解説

 公開日:2025/11/13
「前立腺肥大症」の症状をご存じですか? “注意すべき症状”も医師が解説

前立腺肥大症の症状は段階的に進行することが一般的です。排尿に関する症状は閉塞症状と刺激症状の二つに大きく分けられ、尿の勢いの低下や頻尿、夜間頻尿などが代表的です。症状が進行すると血尿や尿路感染症、膀胱結石などの合併症が出現する可能性もあり、早期の発見と適切な対応が生活の質を保つために大切です。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

前立腺肥大症の初期症状と進行段階

前立腺肥大症の症状は段階的に進行することが一般的です。

排尿に関する具体的な症状の変化

前立腺肥大症の排尿症状は、閉塞症状と刺激症状の二つに大きく分けられます。閉塞症状には、尿の勢いの低下、排尿開始の遅れ、尿線の途絶、腹圧をかけないと排尿できない状態などがあります。これらは肥大した前立腺が尿道を物理的に圧迫することで生じます。 刺激症状としては、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感が代表的です。これらは膀胱の過敏性亢進や、残尿による膀胱容量の実質的な減少が原因と考えられています。特に夜間頻尿は生活の質を大きく低下させる要因となり、睡眠障害や日中の疲労感につながります。 残尿感は、排尿後も膀胱に尿が残っている感覚です。実際の残尿量は超音波検査で測定でき、50ml以上の残尿が持続する場合は、膀胱機能への悪影響や尿路感染のリスクが高まります。これらの症状は国際前立腺症状スコアという質問票で客観的に評価されます。 中等度に進行すると、残尿感が明確になり、排尿後もすっきりしない感覚が続きます。日中の排尿回数も増加し、外出時にトイレの場所を気にするようになるなど、生活の質が低下し始めます。夜間頻尿により睡眠が分断されると、日中の活動にも影響が現れます。

合併症のサインと注意すべき症状

前立腺肥大症が進行すると、さまざまな合併症が出現する可能性があります。血尿は前立腺表面の血管が破綻することで生じ、しばしば鮮やかな赤色を呈します。血尿が見られた場合は、前立腺肥大症以外の疾患の可能性も考慮し、早期の受診が必要です。 尿路感染症は、残尿により膀胱内に細菌が繁殖しやすくなることで発症します。発熱、排尿時痛、尿の混濁などの症状が現れます。繰り返す尿路感染は腎機能障害のリスクを高めるため、適切な治療と予防策が求められます。 膀胱結石は長期にわたる残尿により、尿中のミネラル成分が結晶化して形成されます。排尿時の痛みや血尿、頻尿の悪化などが特徴的な症状です。また、慢性的な尿路閉塞により腎臓に負担がかかると、水腎症や腎不全に進行するリスクもあります。

まとめ

前立腺肥大症は加齢に伴い多くの男性が経験する疾患ですが、適切な知識と早期の対処により、生活の質を維持することが可能です。排尿症状や性機能への影響は、個人の生活に深刻な影響を及ぼす可能性がありますが、現代医療では薬物療法から低侵襲手術まで多様な選択肢が用意されています。症状に気づいた段階で泌尿器科を受診し、専門医と相談しながら適切な治療方針を立てることをおすすめします。定期的な検診により早期発見・早期治療につなげることが、健康な生活を維持する鍵となります。

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