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「大動脈解離」に前兆はあるのかご存じですか? 40代から知るべき突然の痛みの特徴

 公開日:2025/11/17

大動脈解離では、発症の瞬間から激烈な痛みが出現し、その特徴的な様相が診断の重要な手がかりとなります。痛みの性質や部位、随伴する症状を正確に把握することで、この緊急性の高い病態を早期に見極めることができます。血圧の異常や循環障害のサインも見逃してはならない重要な所見です。ここでは、大動脈解離に特徴的な症状について詳しく解説します。

井筒 琢磨

監修医師
井筒 琢磨(医師)

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江戸川病院所属。専門領域分類は内科(糖尿病内科、腎臓内科)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会

大動脈解離の症状―突然の激痛が最大の特徴

大動脈解離は、症状の出現が突然かつ劇的であることが最も重要な臨床的特徴です。症状の現れ方や痛みの性質を正しく理解することで、早期発見と迅速な受診につながります。

突然発症する激烈な胸背部痛

大動脈解離の代表的な症状は、突然始まる強い痛みです。多くの患者さんは、「これまで経験したことのない激しい痛み」「引き裂かれるような痛み」「刺されたような痛み」と表現されます。痛みの部位は解離が起きた場所によって異なり、胸部から始まることが多いものの、背中や腹部、さらには腰部へと移動することがあります。

痛みの特徴として、発症時刻をはっきりと覚えているほど急激に始まる点が挙げられます。心筋梗塞の痛みが数分から数十分かけて強くなるのに対し、大動脈解離の痛みは発症直後から強さのピークに達します。この痛みは持続的で、体位を変えても安静にしても軽減しません。解離が進行すると、痛みの場所が移動していくこともあります。

血圧の左右差と循環障害の症状

大動脈解離では、解離によって分枝血管への血流が障害されるため、左右の腕で測定した血圧に明らかな差が生じることがあります。通常、左右の血圧差は10mmHg以内ですが、大動脈解離では20mmHg以上の差が認められる場合があります。これは解離が腕へ向かう血管の入口部分に及んでいることを示唆する重要なサインです。

また、解離が進行して重要な臓器へ向かう血管が巻き込まれると、その臓器特有の症状が現れます。脳への血流が障害されると意識障害や片麻痺、言語障害といった脳梗塞様の症状が出現します。腎臓への血流が途絶えると急性腎不全が、腸管への血流が障害されると激しい腹痛や血便が生じます。四肢への血流障害では、冷感やしびれ、運動障害が認められることがあります。

まとめ

大動脈解離は、突然発症し致命的な経過をたどる可能性のある緊急性の高い血管疾患です。激烈な胸背部痛という特徴的な症状を理解し、前兆のサインを見逃さないこと、高血圧や動脈硬化といった原因因子を適切に管理すること、そして急死のリスクと再発の可能性を認識したうえで治療後も継続的に経過を観察することが、生命予後を改善するために極めて重要です。

本記事で解説したように、大動脈解離は発症後の時間経過が予後を大きく左右するため、突然の激しい痛みが生じた際には直ちに救急車を要請することが必要です。また、リスク因子をお持ちの方は、定期的な循環器内科の受診と、日常的な血圧管理を心がけてください。治療後も長期にわたる厳格な血圧コントロールと定期的な画像検査による監視が、再発予防のために不可欠です。

この病態についての正確な知識を持つことで、ご自身やご家族の健康を守る一助となれば幸いです。気になる症状がある場合や、リスク因子について不安がある場合には、専門の医師にご相談されることをお勧めします。

この記事の監修医師

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