「迎え酒」が回復を遅らせる理由はご存知ですか？【管理栄養士監修】

迎え酒の効果と実際の治癒過程の違い

迎え酒による一時的な症状緩和と、本来の治癒過程は全く異なるものです。この違いを正しく理解することが、適切な対処法を選択するうえで重要です。

本来の二日酔い回復メカニズム

二日酔いからの正常な回復には、いくつかの重要なプロセスがあります。まず、体内に残っているアセトアルデヒドを完全に代謝・排出することが必要です。このプロセスには時間がかかり、無理に早めることはできません。肝臓が一定のペースで代謝を進めるのを待つしかないのです。 次に、脱水状態の改善が不可欠です。アルコールの利尿作用によって失われた水分と電解質を補給することで、頭痛や倦怠感が徐々に改善されていきます。経口補水液やスポーツドリンクなどで、適切な水分補給を行うことが推奨されます。一度に大量に飲むのではなく、少量ずつこまめに摂取することが効果的です。 また、栄養の補給も回復を助けます。アルコール代謝には多くのビタミンB群が消費されるため、これらを補給することで回復が促進されます。消化に良い食事を少量ずつ摂取し、胃腸への負担を最小限に抑えながら栄養を補給することが望ましいです。

迎え酒が回復を遅らせる理由

迎え酒はこれらの回復プロセスを遅らせる原因となります。新たにアルコールを摂取することで、肝臓はさらなる代謝負担を強いられ、アセトアルデヒドの蓄積も継続します。本来であれば数時間で完了するはずの代謝過程が、大幅に延長されてしまうのです。 脱水状態も悪化します。追加のアルコール摂取により利尿作用が再び働き、体内の水分がさらに失われます。電解質バランスも崩れ、特にカリウムやマグネシウムといった重要なミネラルが不足することで、筋肉の痙攣や不整脈のリスクも高まります。 さらに、迎え酒は睡眠の質を著しく低下させます。アルコールは入眠を促進する作用がありますが、睡眠の後半ではレム睡眠が阻害され、深い睡眠が得られなくなります。質の良い睡眠は身体の回復に不可欠ですが、迎え酒はこの回復過程を妨げることになります。