「迎え酒を習慣化」するとどんなリスクが高まるかご存知ですか？【管理栄養士監修】

迎え酒を習慣化する危険性

迎え酒を一度だけ試すことと、習慣として繰り返すことでは、健康への影響が大きく異なります。習慣化による危険性について理解することが重要です。

肝臓への累積的ダメージ

肝臓は驚異的な再生能力を持つ臓器ですが、それにも限界があります。迎え酒を習慣化すると、肝臓が休息する時間がほとんどなくなり、慢性的な炎症状態が続きます。初期段階では脂肪肝として現れ、多くの場合は自覚症状がありません。しかし、放置すると肝線維化が進行し、やがて肝硬変へと至る可能性があります。 肝臓の状態は血液検査で評価できます。AST(GOT)やALT(GPT)、γ-GTPといった数値が上昇している場合は、肝細胞に何らかのダメージが生じているサインです。迎え酒を習慣にしている方では、これらの数値が慢性的に高値を示すことが多く、定期的な検査と医師による評価が必要です。 さらに問題なのは、肝臓のダメージが進行しても自覚症状が現れにくいことです。倦怠感や食欲不振といった症状が出る頃には、既にかなり進行した状態になっていることも珍しくありません。迎え酒の習慣がある方は、症状の有無にかかわらず、定期的な肝機能検査を受けることが強く推奨されます。

アルコール依存症への進行リスク

迎え酒の最も深刻なリスクは、アルコール依存症への進行です。離脱症状を緩和するために飲酒を繰り返すパターンは、依存症の中核的な特徴の一つです。厚生労働省の調査によると、日本国内のアルコール依存症患者数は約100万人以上と推計されており、その多くが迎え酒などの問題飲酒から始まっています。 依存症は単なる意志の弱さではなく、脳の報酬系や神経伝達物質のバランスが変化する疾患です。一度依存が形成されると、自分の意志だけで飲酒をコントロールすることが極めて困難になります。仕事や家庭生活に支障をきたしても飲酒を優先してしまう、飲酒量や頻度を減らそうと思ってもできない、といった状態が続く場合は、専門的な治療が必要です。 依存症の治療には、精神科や心療内科での専門的なアプローチが有効です。カウンセリングや認知行動療法、場合によっては薬物療法を組み合わせて治療を進めます。また、断酒会やアルコホーリクス・アノニマス(AA)などの自助グループへの参加も、回復過程において重要な役割を果たします。