「迎え酒」で「症状が緩和」したように感じる原因はご存知ですか？【管理栄養士監修】

迎え酒による一時的な症状改善の実態

迎え酒で得られる症状の改善は、あくまでも一時的かつ表面的なものです。根本的な問題解決には至らず、むしろ状況を悪化させる要因となります。

改善したように見える症状の正体

迎え酒後に改善したように感じられる症状は、主に自律神経系の変化によるものです。二日酔いの状態では、交感神経が過度に活性化して心拍数の増加や発汗、不安感などが生じています。アルコールを再摂取することで副交感神経が優位になり、これらの症状が一時的に緩和されます。 頭痛の軽減については、アルコールによる血管拡張作用が関与しています。ただし、これは二日酔いによって既に拡張している血管をさらに拡張させることになり、長期的には症状を悪化させる可能性があります。また、アルコールの利尿作用による脱水が進むことで、頭痛が再び強まることも珍しくありません。 吐き気の改善については、より複雑なメカニズムが関わっています。アルコールは胃酸の分泌を促進する一方で、胃の運動を抑制します。一時的に吐き気が治まったように感じても、実際には胃粘膜への刺激が継続しており、慢性的な胃炎や胃潰瘍のリスクを高めることになります。

時間経過による症状の再燃

迎え酒の最も大きな問題点は、症状の改善が極めて短時間しか持続しないことです。新たに摂取したアルコールが代謝されて血中濃度が下がり始めると、二日酔いの症状が再び現れます。しかも、今度は当初の症状に加えて、新たに摂取したアルコールによる代謝産物も加わるため、症状がより重くなる可能性があります。 多くの場合、迎え酒から2〜4時間後には症状が戻り始めます。この時点で再び迎え酒をする方もいらっしゃいますが、これは連続飲酒の状態であり、アルコール依存症のリスクが極めて高い行動パターンです。身体が常にアルコールを求める状態になると、適切なタイミングで飲酒をやめることが困難になります。 また、迎え酒を繰り返すことで、本来の体内リズムが大きく乱れます。睡眠の質が低下し、食欲が正常に働かなくなり、精神的にも不安定な状態が続きます。このような状態を長期的に続けると、気分の落ち込みや不安などの精神的な不調が生じやすくなると報告されています。。