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味噌汁は1日何杯が目安?塩分摂取目標量を踏まえた適切な摂取量と頻度【管理栄養士解説】

 公開日:2025/11/19

味噌汁の健康効果を得ながら潜在的なリスクを低減するには、適切な摂取量と頻度を理解することが重要です。厚生労働省が推奨する食塩摂取目標量を踏まえた1日の推奨摂取量や、3杯以上摂取する場合の注意点について解説します。減塩の工夫や具材の選び方も含めて、バランスの取れた摂取方法を提案します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

適切な摂取量と頻度の考え方

味噌汁の健康効果を得ながら、潜在的なリスクを低減するための適切な摂取量と頻度について解説します。1日の推奨摂取量と3杯以上の摂取に関する注意点を理解することが重要です。

1日の推奨摂取量

健康な成人の場合、味噌汁は1日1杯から2杯程度が適切な範囲とされています。厚生労働省が推奨する1日の食塩摂取目標量は男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満であり、味噌汁1杯で約1.2から2グラムの食塩を摂取することを考慮すると、ほかの食品からの塩分摂取とのバランスが重要になります。 減塩味噌を使用することで、塩分摂取量を約20から30パーセント削減できます。また出汁をしっかりと取ることで、味噌の使用量を減らしても満足できる味わいが得られます。昆布や鰹節、干し椎茸などの天然素材から取った出汁は、化学調味料に比べてうま味成分が豊富で深い風味があります。 具材を多めにすることも有効な工夫です。野菜、海藻、きのこ類を豊富に入れることで、汁の量が相対的に減り、結果として塩分摂取量が抑えられます。同時に食物繊維やビタミン、ミネラルの摂取量が増え、栄養バランスが改善されます。

3杯以上の摂取に関する注意

1日に味噌汁を3杯以上飲む習慣がある方は、塩分の過剰摂取に注意が必要です。特に、すでに血圧が高めの方、腎機能に不安がある方、家族歴として循環器疾患や腎臓病がある方は、摂取量の見直しを検討すべきです。 疫学研究の中には、味噌汁を1日3杯以上飲む群で胃がんリスクが上昇する傾向を示したものがあります。ただしこれは味噌汁そのものが直接的に胃がんを引き起こすという意味ではなく、高塩分摂取という生活習慣全体の指標として解釈すべきです。味噌汁を多く飲む方は、ほかの塩分の多い食品も多く摂取している可能性があります。 重要なのは量より質です。塩分濃度を下げ、栄養価の高い具材を使い、バランスの良い食事の一部として適切に味噌汁を取り入れることが、健康維持にとって効果的なアプローチです。

まとめ

味噌汁は日本の伝統的な食文化の中で受け継がれてきた栄養価の高い食品であり、適切に摂取することで多様な健康効果が期待されます。発酵によって生成される機能性成分、バランスの良いアミノ酸組成、具材による栄養素の補完は、現代の栄養学の観点からも評価される要素です。一方で塩分濃度への配慮や特定の疾患を持つ方の制限事項を理解し、個々の健康状態に応じた適切な摂取方法を選択することが重要です。気になる症状がある場合や持病がある場合は、かかりつけ医や管理栄養士に相談し、ご自身に適した食事パターンを確立してください。

この記事の監修管理栄養士