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「へそのごま」を取ると痛い理由をご存知ですか? 炎症のメカニズムとは

 公開日:2025/11/16
へそのごまを取った後に痛みが生じる原因

へそのごまを除去した後、予期せぬ痛みや不快感を経験される方は少なくありません。この痛みは、多くの場合、除去の過程で生じた皮膚の微小な損傷が原因です。へその皮膚は薄くデリケートなため、わずかな刺激でも炎症反応が起こりやすく、それに伴って痛みが生じます。また、神経が集中している部位でもあるため、刺激に対して敏感に反応するのです。ここでは、除去後の痛みが発生するメカニズムについて、医学的観点から詳しく解説します。

松澤 宗範

監修医師
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)

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2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会

へそのごまを取った後に痛みが生じる原因

へそのごまを除去した後、へその部位に痛みや不快感を感じることがあります。主な原因は、皮膚の微小な損傷と、それに伴う炎症反応です。無理な除去方法を避けることで、痛みの発生を予防できます。

皮膚の損傷と炎症反応

へそのごまを無理に引き剥がそうとしたり、爪や硬い道具で掻き出そうとすると、へその皮膚に微小な傷がつくことがあります。へその皮膚は薄くデリケートなため、わずかな刺激でも損傷しやすいのです。 皮膚に傷がつくと、身体は損傷部位を修復しようとする炎症反応を起こします。この過程で、傷口周辺の血管が拡張し、白血球などの免疫細胞が集まってきます。炎症反応に伴い、発赤、腫れ、熱感、そして痛みが生じます。 また、長期間蓄積していたへそのごまは、皮膚に強固に付着しており、無理に取り除くと表皮の一部も一緒に剥がれてしまうことがあります。この場合、生の真皮が露出し、強い痛みを感じることになります。 さらに、へそのごまを取り除いた後の傷口に、細菌や真菌が侵入すると、感染性の炎症が起こり、痛みが一層強くなります。清潔でない手指や道具を使用すると、感染のリスクが高まります。オイルを使用せずに乾燥した状態で無理に取ろうとした場合や、強く擦りすぎた場合に、このような皮膚損傷が生じやすくなります。

神経の刺激と痛みの感じ方

へその周囲には、腹壁の神経が分布しており、皮膚の損傷や炎症により神経が刺激されると、痛みとして感じられます。特に、へその底部は薄い皮膚の下に直接腹膜が存在するため、刺激が内臓にも伝わり、鈍い痛みや不快感を生じることがあります。 痛みの感じ方には個人差があり、痛覚の閾値が低い方は、わずかな刺激でも強い痛みを感じることがあります。また、不安や緊張状態にあると、痛みの感受性が高まることが知られています。 へそのごまを取る作業中に、過度に力を入れたり、長時間にわたって刺激を与え続けたりすると、神経が過敏になり、作業後も痛みが持続することがあります。 さらに、へその内部に埋没していたへそのごまを取り除いた後、急激な環境変化により皮膚が過敏に反応し、痛みやヒリヒリ感を感じることもあります。これは一時的なものであり、通常は数時間から数日で自然に治まります。

まとめ

へそのごまは、皮脂、汗、角質などが蓄積した汚れの塊であり、放置すると臭いや炎症の原因となります。安全な除去には、オイルでふやかしてから優しく取り除く方法が推奨されます。無理に引き剥がすと皮膚を傷つけ、痛みや感染を招くため注意が必要です。 へその形状や皮脂分泌量、生活習慣により蓄積しやすさには個人差があります。日常的な入浴時の丁寧な洗浄と乾燥、通気性の良い衣類の選択が予防に有効です。 強い臭いや炎症、除去後の持続する痛みがある場合は、速やかに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。定期的なケアを習慣化することで、へそのごまによるトラブルを未然に防ぎ、清潔で健康的な状態を保つことができます。

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