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「へそのごま」が臭いのは危険なサイン? 細菌繁殖と臍炎のリスクとは

 公開日:2025/11/14
へそのごまが臭う原因とメカニズム

へそのごまから発生する不快な臭いは、見た目以上に気になる問題として多くの方が抱えています。この臭いは単なる汚れの臭いではなく、微生物の活動によって生み出される複雑な化学反応の結果です。へその閉鎖的な環境は細菌や真菌にとって理想的な繁殖場所となり、それらが皮脂やタンパク質を分解する過程で特有の臭気物質が生成されます。ここでは、臭いが発生する生物学的メカニズムと、日常生活で実践できる臭い対策について解説します。

松澤 宗範

監修医師
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)

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2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会

へそのごまが臭う原因とメカニズム

へそのごまから発生する不快な臭いは、多くの方が気にされる問題です。臭いの主な原因は、細菌が皮脂やタンパク質を分解する際に産生する揮発性物質にあります。

細菌の繁殖と代謝産物

へその窪みは、温度と湿度が高く、空気の流通が悪いという条件が揃っており、細菌にとって格好の繁殖場所となります。人間の皮膚には常在菌と呼ばれる多種多様な細菌が存在し、通常は皮膚のバリア機能を保つ役割を果たしています。 しかし、へそのごまが蓄積すると、その中に含まれる皮脂やタンパク質を栄養源として、細菌が異常に増殖します。細菌は皮脂を分解する過程で、脂肪酸やアンモニア、硫黄化合物といった揮発性の物質を産生します。 これらの代謝産物が、へそのごま特有の酸っぱいような、あるいは腐敗臭に似た不快な臭いの原因となります。特に嫌気性菌(酸素が少ない環境を好む細菌)は、硫化水素やメチルメルカプタンといった強い臭気を持つ化合物を生成するため、臭いが一層強くなります。 また、真菌(カビ)が繁殖している場合も、独特のカビ臭さが加わることがあります。細菌や真菌の種類や量は個人差が大きく、同じ量のへそのごまでも、臭いの強さには差が生じます。

臭いを防ぐ日常ケア

へそのごまによる臭いを予防するには、定期的な清潔保持が効果的です。日常は泡でやさしく洗って十分に乾燥させ、臍石ができやすい方のみ月に数回~必要時にオイルで軟化を除去するとよいでしょう。 入浴時には、へその周囲を石鹸でしっかりと洗い、すすぎ残しがないように注意します。洗浄後は、タオルで水分をよく拭き取り、へその窪みを乾燥させることが重要です。湿った状態が続くと、細菌が繁殖しやすくなります。 通気性の良い衣類を選ぶことも有効です。化学繊維よりも綿や麻などの天然素材の方が、汗や湿気を吸収・発散しやすく、へその環境を清潔に保ちやすくなります。 また、肥満によりへその窪みが深くなっている場合は、体重管理を行うことで、へその形状を改善し、臭いの発生を抑える効果が期待できます。強い臭いが続く場合や、洗浄しても改善しない場合は、細菌や真菌の感染が疑われるため、皮膚科を受診して適切な治療を受けることをおすすめします。

まとめ

へそのごまは、皮脂、汗、角質などが蓄積した汚れの塊であり、放置すると臭いや炎症の原因となります。安全な除去には、オイルでふやかしてから優しく取り除く方法が推奨されます。無理に引き剥がすと皮膚を傷つけ、痛みや感染を招くため注意が必要です。 へその形状や皮脂分泌量、生活習慣により蓄積しやすさには個人差があります。日常的な入浴時の丁寧な洗浄と乾燥、通気性の良い衣類の選択が予防に有効です。 強い臭いや炎症、除去後の持続する痛みがある場合は、速やかに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。定期的なケアを習慣化することで、へそのごまによるトラブルを未然に防ぎ、清潔で健康的な状態を保つことができます。

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