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日常生活で「むし歯がうつりやすい場面」とは?むし歯と日常生活の注意点を解説!

 公開日:2025/11/12

むし歯菌の感染は日常生活のさまざまな場面で起こり得ます。特に食事やスキンシップの際には、唾液を介した感染のリスクが高まります。このセクションでは食事を通じた具体的な感染ルートや、親子のスキンシップにおける留意点について解説します。日常のどのような行為が感染経路となるのかを理解し、過度に神経質にならずに実践できる予防策を知ることが大切です。

柴原 孝彦

監修歯科医師
柴原 孝彦(東京歯科大学名誉教授)

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1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授。
著書は「口腔顎顔面外科学(医歯薬出版)」「標準口腔外科学(医学書院)」「カラーアトラス コンサイス口腔外科学(学建書院)」「口腔がん検診 どうするの、どう診るの(クインテッセンス出版)」「衛生士のための看護学大意(医歯薬出版)」「かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診step1/2/3(医歯薬出版)」「エナメル上皮腫の診療ガイドライン(学術社)」「薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死MRONJ・BRONJ(クインテッセンス出版)」「知っておきたい舌がん(扶桑社)」「口腔がんについて患者さんに説明するときに使える本(医歯薬出版)」など。

むし歯がうつりやすい生活場面

むし歯菌の感染は日常生活のさまざまな場面で起こり得ます。特に食事やスキンシップの際に注意が必要です。

食事を通じた感染ルート

食事の場面は感染リスクが高い状況の一つです。同じスプーンや箸を使って食べ物を与える行為は、保護者の唾液が赤ちゃんの口に直接入る典型的な感染経路となります。また保護者が熱い食べ物を冷ますために息を吹きかける行為も、唾液の飛沫が食べ物に付着する可能性があります。 離乳食期には保護者が食べ物を噛み砕いて与えることがありますが、これは避けることが望ましい行為です。咀嚼された食べ物には大量の唾液が含まれており、ミュータンス菌も一緒に移行する可能性があります。また保護者が飲み物を先に口に含んで温度を確かめる行為や、同じコップで飲み物を共有する行為も感染経路となり得ます。 外食や祖父母宅での食事など、家庭外での食事場面でも注意が必要です。特に複数の大人が関わる場合、食器の共有や口移しが起こりやすくなります。周囲の理解と協力を得るために、事前にむし歯予防の方針を伝えておくことが大切です。ただし完全に防ぐことは難しく、過度に神経質になる必要はありません。

スキンシップにおける留意点

親子のスキンシップは情緒的な発達に欠かせないものですが、唾液の接触を伴う行為には配慮が必要です。口と口のキスや、保護者が赤ちゃんの口周りを舐める行為は、直接的に唾液が移る行為です。頬や額へのキスは問題ありませんが、口周辺は避けることが望ましいでしょう。 おしゃぶりや哺乳瓶の乳首を保護者の口で清潔にしようとする行為も、感染経路となる可能性があります。落ちたおしゃぶりを口に含んできれいにするのではなく、水で洗うか予備のものに交換する習慣をつけましょう。また歯ブラシを共有することや、保護者が赤ちゃんの歯ブラシを口に入れて濡らす行為も避けることが推奨されます。 家族全員が感染予防を意識することが重要です。特に兄姉がいる場合、子ども同士の接触でも感染が起こり得ます。年齢の近い兄姉がいる家庭では、上のお子さんにも適切な口腔ケアを行い、家族全体でむし歯菌の量を減らす取り組みが有効です。ただし過度な制限はストレスになるため、できる範囲で対策を講じることが現実的でしょう。

まとめ

赤ちゃんのむし歯予防は、感染経路の理解と日常的な対策の積み重ねによって実践できます。特に1歳半から3歳までの感染の窓と呼ばれる時期に配慮し、食器の共有を避ける、保護者自身の口腔ケアを徹底するなどの対策を講じることが大切です。乳歯の健康は永久歯や全身の発達にも影響する可能性があるため、軽視せず適切なケアを継続しましょう。ただし完璧を目指す必要はなく、できる範囲で無理なく続けることが重要です。不安な点がある場合は、早めに歯科医院を受診し、専門家の指導を受けることをおすすめします。

この記事の監修歯科医師

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