赤ちゃんの成長に伴い、口腔ケアの方法や生活習慣も段階的に変化させる必要があります。年齢に応じた適切なアプローチを取ることで、無理なく効果的な予防を継続できます。このセクションでは0歳から1歳までの基礎づくり期と、1歳から3歳までの習慣定着期に分けて、それぞれの時期に必要な口腔ケアと生活習慣について具体的に説明します。成長段階に合わせた予防方法を実践しましょう。
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1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授。
著書は「口腔顎顔面外科学（医歯薬出版）」「標準口腔外科学（医学書院）」「カラーアトラス コンサイス口腔外科学（学建書院）」「口腔がん検診 どうするの、どう診るの（クインテッセンス出版）」「衛生士のための看護学大意（医歯薬出版）」「かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診step1/2/3（医歯薬出版）」「エナメル上皮腫の診療ガイドライン（学術社）」「薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死MRONJ・BRONJ（クインテッセンス出版）」「知っておきたい舌がん（扶桑社）」「口腔がんについて患者さんに説明するときに使える本（医歯薬出版）」など。
年齢別の口腔ケアと生活習慣の調整
赤ちゃんの成長に伴い、口腔ケアの方法や生活習慣も段階的に変化させる必要があります。年齢に応じた適切なアプローチを取ることで、無理なく効果的な予防を継続できます。
0歳から1歳までの基礎づくり
この時期は口腔ケアの習慣づけと、保護者の予防意識の向上が主な目標です。乳歯が生える前は、授乳後や離乳食後に湿らせたガーゼで歯茎を拭く習慣をつけましょう。これは口腔内を清潔に保つだけでなく、赤ちゃんが口の中を触られることに慣れる効果もあります。
乳歯が生えたら、乳児用の柔らかい歯ブラシを使い始めます。当初は水だけで優しく磨き、歯ブラシに慣れさせることを優先します。嫌がる場合は無理に磨こうとせず、遊びの延長として楽しい雰囲気で行うことが重要です。歌を歌いながら磨く、鏡を見せながら磨くなど、工夫をしてみましょう。
食事面では母乳や育児用ミルクが中心ですが、離乳食が始まったら食後に白湯や麦茶を飲ませて口腔内を洗い流す習慣をつけます。哺乳瓶でジュースやイオン飲料を与えることは避け、これらは食事の際にコップで飲ませるようにします。就寝前の授乳後は、可能であれば歯を拭いてから寝かせることが理想的です。ただし無理のない範囲で実践することが継続の鍵となります。
1歳から3歳までの習慣定着期
この時期は自我が芽生え、自分で歯を磨きたがる一方で、仕上げ磨きを嫌がることもあります。お子さんの自主性を尊重しながらも、保護者による仕上げ磨きは必ず行うことが重要です。嫌がる場合は、時間帯を変える、好きなキャラクターの歯ブラシを使う、歯磨き方法の絵本を読むなど、さまざまな工夫を試してみましょう。
1歳を過ぎたらフッ素入りの歯磨き剤を使用し始めます。使用量は米粒程度から始め、2歳頃にはグリーンピース程度に増やします。1～2歳では500ppm程度、3歳以降は950ppm程度のフッ素濃度の歯磨剤が推奨されています。歯磨き方法後は少量の水で1回だけ口をすすぎ、フッ素を口腔内に残すようにします。
食生活では幼児食へ移行し、家族と同じものを食べるようになります。この時期は食事の楽しさを学ぶ重要な時期でもありますが、糖分の管理も必要です。おやつは時間を決めて与え、食後には水やお茶を飲ませます。ダラダラ食べやダラダラ飲みは避け、メリハリのある食生活を心がけましょう。ただし完璧を求めすぎると親子双方にストレスとなるため、バランスを考えた対応が現実的です。
まとめ
赤ちゃんのむし歯予防は、感染経路の理解と日常的な対策の積み重ねによって実践できます。特に1歳半から3歳までの感染の窓と呼ばれる時期に配慮し、食器の共有を避ける、保護者自身の口腔ケアを徹底するなどの対策を講じることが大切です。乳歯の健康は永久歯や全身の発達にも影響する可能性があるため、軽視せず適切なケアを継続しましょう。ただし完璧を目指す必要はなく、できる範囲で無理なく続けることが重要です。不安な点がある場合は、早めに歯科医院を受診し、専門家の指導を受けることをおすすめします。
