「腹膜透析」による合併症を医師が解説 『腹膜炎』の症状・予防法とは?
公開日:2025/11/18

腹膜透析を長期的に安全に続けるには、合併症への理解と予防が欠かせません。適切な知識と日々のケアにより、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。ここでは腹膜透析に特有の合併症である腹膜炎の予防方法と、長期的な腹膜機能を維持するための注意点について解説します。早期発見と適切な対応が治療継続の鍵となります。

監修医師:
浅川 貴介(医師)
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【経歴】
2004年 私立海城高等学校卒業
2010年 私立東邦大学医学部卒業 医師免許取得
2012年 公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年 東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
2018年 医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年 浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医
2004年 私立海城高等学校卒業
2010年 私立東邦大学医学部卒業 医師免許取得
2012年 公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年 東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
2018年 医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年 浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医
腹膜透析における合併症とその予防
腹膜透析には特有の合併症があり、その予防と早期発見が長期継続の鍵となります。適切な知識と対策により、多くの合併症は防ぐことができます。日常的な観察と清潔操作の徹底が、合併症予防の基本です。腹膜炎の予防と早期発見
腹膜炎は、腹膜透析の合併症の一つです。カテーテルを介して細菌が腹腔内に侵入すると、腹膜に炎症が起こります。症状としては、腹痛、発熱、排液の白濁、悪心などが現れます。腹膜炎を疑う場合は、速やかに医療機関に連絡し、指示を仰ぎます。早期発見と適切な治療により、重症化を防ぐことができます。 予防のためには、交換手技を正確に行い、清潔操作を徹底することが重要です。手洗いは30秒以上かけて丁寧に行い、爪は短く切り揃えます。カテーテル出口部は毎日観察し、発赤、腫脹、膿の有無をチェックします。出口部の消毒は医師の指示に従って実施し、カテーテルに負担をかけないよう固定します。また、風呂やプールでの感染リスクについても、医療スタッフと相談し、適切な対策を講じます。日々の予防努力が、腹膜透析を長く続けるための鍵となります。長期的な腹膜機能の維持
腹膜透析を長期間継続すると、腹膜の透過性が変化し、透析効率が低下する場合があります。これは腹膜の線維化や硬化が原因で起こります。定期的な腹膜機能検査(PET)により、腹膜の状態を評価し、透析条件を調整します。腹膜機能の変化は個人差が大きく、長期的なモニタリングが必要です。 腹膜機能を長く維持するには、適切な透析液の選択が重要です。近年では、生体適合性の高い透析液が開発されており、腹膜への負担を軽減できます。また、過度な除水を避け、残存腎機能を保つことも大切です。腹膜透析の継続が困難になった場合は、血液透析への移行が検討されます。導入時から将来的な治療方針について医師と話し合い、柔軟に対応できる準備をしておくことが推奨されます。透析方法の変更が必要になっても、適切な治療を継続することで、生活の質を維持できます。まとめ
透析治療は、適切な知識と自己管理により、多くの方が長期的に継続し、充実した日常生活を送っています。血液透析と腹膜透析にはそれぞれの特徴があり、ライフスタイルや身体状態に応じて選択できます。食事療法や水分管理、感染予防などの日常的なケアが、治療効果を高め、合併症を防ぐ鍵となります。体調変化を早期に察知し、医療スタッフと密に連携することで、より安全で快適な透析生活が実現します。疑問や不安がある場合は、遠慮なく専門機関に相談し、適切な支援を受けることが大切です。参考文献