「透析患者」の『適切な水分摂取量』の目安を医師が解説 失敗しない工夫とは?
公開日:2025/11/15

水分管理は透析を受ける方にとって、日々の生活で特に意識すべき項目の一つです。過剰な摂取は心不全や高血圧のリスクを高め、逆に不足すると脱水を招きます。適切なバランスを保つことで透析の効率が向上し、体調を安定させることができます。ここでは水分摂取の目安と、日常生活で実践できる具体的な工夫について解説します。

監修医師:
浅川 貴介(医師)
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【経歴】
2004年 私立海城高等学校卒業
2010年 私立東邦大学医学部卒業 医師免許取得
2012年 公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年 東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
2018年 医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年 浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医
2004年 私立海城高等学校卒業
2010年 私立東邦大学医学部卒業 医師免許取得
2012年 公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年 東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
2018年 医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年 浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医
透析患者さんの食事における水分管理
水分管理は透析患者さんにとって日常生活で気を配る必要がある項目の一つです。過剰な水分摂取は、透析間の体重増加や心不全、高血圧の原因となります。一方で、過度な制限は脱水や体調不良を招くため、適切なバランスが求められます。適切な水分摂取量の目安
透析患者さんの水分摂取量は、尿量と不感蒸泄(皮膚や呼吸から失われる水分)を考慮して決定されます。一般的には、1日の尿量に500mL程度を加えた量が目安とされます。無尿の方の場合、500から700mL程度が推奨量となります。透析と透析の間の体重増加は、ドライウェイト(透析後の基準体重)の3から5%以内に抑えることが理想的です。 水分は飲み物だけでなく、食事に含まれる水分(汁物など)も計算に入れる必要があります。夏場は発汗により水分喪失が増えるため、やや多めの摂取が許容される場合もありますが、自己判断せず医療スタッフに相談することが大切です。水分摂取量は個人の状態によって異なるため、定期的な体重測定と血液検査の結果をもとに、適切な量を医師と相談して決定します。水分制限を守るための工夫
水分制限を実践するには、いくつかの工夫が有効です。まず、喉の渇きを感じにくくするため、塩分摂取を控えることが基本です。口腔内の乾燥を防ぐため、氷を少量舐める、レモン水でうがいをする、無糖のガムを噛むなどの方法があります。これらの工夫により、喉の渇きを軽減しながら水分摂取量を管理できます。 飲み物は小さなコップを使い、少量ずつゆっくり飲むようにします。1日の飲水量をペットボトルに入れて可視化し、飲みすぎを防ぐ方法も効果的です。また、薬を服用する際の水も計測に含めます。喉の渇きが強い場合は、血糖値が高い可能性もあるため、医師に相談することが推奨されます。適切な水分管理により、透析間の体重増加を抑え、循環器への負担を軽減できます。日々の記録をつけることで、自己管理の精度が高まり、長期的な健康維持につながります。まとめ
透析治療は、適切な知識と自己管理により、多くの方が長期的に継続し、充実した日常生活を送っています。血液透析と腹膜透析にはそれぞれの特徴があり、ライフスタイルや身体状態に応じて選択できます。食事療法や水分管理、感染予防などの日常的なケアが、治療効果を高め、合併症を防ぐ鍵となります。体調変化を早期に察知し、医療スタッフと密に連携することで、より安全で快適な透析生活が実現します。疑問や不安がある場合は、遠慮なく専門機関に相談し、適切な支援を受けることが大切です。参考文献