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「透析」には2つの方法があるのをご存じですが? “適した患者の条件”も医師が解説

 公開日:2025/11/14
「透析」には2つの方法があるのをご存じですが? “適した患者の条件”も医師が解説

透析治療は血液透析と腹膜透析という2つの方法に大別されます。どちらも老廃物や水分を除去する目的は同じですが、そのメカニズムや実施場所、生活への影響は大きく異なります。ご自身のライフスタイルや身体状態に合わせて選択できるよう、それぞれの原理と特徴を理解することが大切です。ここでは両方の治療法について基本的な仕組みを解説します。

浅川 貴介

監修医師
浅川 貴介(医師)

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【経歴】
2004年 私立海城高等学校卒業
2010年 私立東邦大学医学部卒業 医師免許取得
2012年 公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年 東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
2018年 医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年 浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医

透析治療の2つの方法:血液透析と腹膜透析の概要

透析治療には血液透析(HD)と腹膜透析(PD)という2つの方法があり、それぞれ異なる原理で体内を浄化します。どちらも老廃物や余分な水分を除去する目的は同じですが、そのメカニズムと実施方法が大きく異なります。

血液透析の原理と実施場所

血液透析は、体外循環装置を用いて血液を体外に取り出し、人工腎臓(ダイアライザー:血液をきれいにするフィルター)を通して浄化する方法です。ダイアライザー内部には半透膜が張られており、この膜を介して血液側と透析液側で物質交換が行われます。老廃物は濃度勾配に従って血液から透析液へ移動し、同時に電解質のバランスも調整されます。この過程で、血液は浄化され、体内に戻されます。 治療は通常、週3回、1回あたり4から5時間かけて行われます。多くの場合、透析施設(病院やクリニック)に通院して実施しますが、在宅血液透析という選択肢もあります。治療中は専門のスタッフが血圧や脈拍などをモニタリングし、安全に配慮しながら進められます。血液透析は効率的に老廃物を除去できる一方で、定期的な通院が必須となります。

腹膜透析の原理と自己管理の特徴

腹膜透析は、お腹の中にある腹膜を天然の膜として利用する方法です。カテーテルを腹部に留置し、そこから透析液を腹腔内に注入します。腹膜の毛細血管と透析液の間で物質交換が起こり、老廃物や余分な水分が除去されます。この方法は、体内に天然に存在する腹膜を活用するため、比較的穏やかに浄化が進みます。 腹膜透析には、1日に複数回透析液を交換する持続携行式腹膜透析(CAPD)と、夜間に自動的に交換する自動腹膜透析(APD)があります。いずれも自宅で実施できるため、通院回数は月1から2回程度で済みます。自己管理が求められる一方、生活スケジュールの柔軟性が高いという利点があります。ただし、腹膜炎などの合併症リスクや、長期的には腹膜の劣化により血液透析への移行が必要になる場合もあります。治療方法の選択は、身体状態や生活環境を考慮して、医師と十分に相談することが大切です。

血液透析が適している方の条件

血液透析は、自己管理が難しい方や、腹膜に問題がある方に適しています。高齢で手技の習得が困難な場合、認知機能の低下がある場合、あるいは視覚障害により清潔操作が難しい場合などが該当します。また、過去に腹部手術を複数回受けていて腹膜の癒着がある方、腹膜透析が困難な腹腔内の疾患がある方も、血液透析が選択されます。 血液透析の利点は、医療スタッフの管理下で安全に実施できること、短時間で効率的に老廃物を除去できること、透析時間以外は比較的自由に過ごせることなどです。一方で、週3回の定期通院が必須であり、1回あたり数時間を要するため、就労や遠方への外出には制約が生じます。通院の負担を軽減するため、夜間透析や早朝透析を実施している施設もあり、ライフスタイルに応じた選択肢が広がっています。

腹膜透析が適している方の条件

腹膜透析は、就労を継続したい方、頻繁な通院が困難な方、残存腎機能を保ちたい方に適しています。自宅での治療が可能なため、仕事や学業との両立がしやすく、生活の質を維持しやすいという特徴があります。また、血液透析に比べて循環動態への負担が少なく、心臓や血管に問題がある方にも選択肢となります。 ただし、腹膜透析を選択するには、清潔操作を習得できること、自己管理能力があること、家族のサポートが得られることなどが条件となります。手先の器用さや視力も重要な要素です。また、住環境として清潔な作業スペースが確保できることも求められます。医師は導入前の評価で、これらの要素を総合的に判断します。腹膜透析は自己管理が中心となるため、導入前には十分なトレーニングが行われ、安全に実施できるよう支援されます。

まとめ

透析治療は、適切な知識と自己管理により、多くの方が長期的に継続し、充実した日常生活を送っています。血液透析と腹膜透析にはそれぞれの特徴があり、ライフスタイルや身体状態に応じて選択できます。食事療法や水分管理、感染予防などの日常的なケアが、治療効果を高め、合併症を防ぐ鍵となります。体調変化を早期に察知し、医療スタッフと密に連携することで、より安全で快適な透析生活が実現します。疑問や不安がある場合は、遠慮なく専門機関に相談し、適切な支援を受けることが大切です。

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