「血液透析中」に起きる症状、『透析後』の体調変化について医師が解説

血液透析の実際の流れと注意点

血液透析は、医療スタッフの管理下で安全に実施される治療です。治療の流れと注意点を理解することで、より安心して透析を受けることができます。透析中は身体に負担がかかるため、体調管理と適切な対応が重要です。

透析開始から終了までの手順

透析開始時には、まず体重測定と血圧測定を行います。前回透析後からの体重増加量を確認し、その日の除水量を決定します。次に、シャントに穿刺針を2本刺し、体外循環回路と接続します。血液は一方の針から体外に取り出され、ダイアライザーを通過した後、もう一方の針から体内に戻されます。この過程で血液が浄化され、老廃物や余分な水分が除去されます。 透析中は、血圧、脈拍、体温などが定期的に測定され、全身状態が監視されます。透析時間は通常4から5時間ですが、個々の状態に応じて調整されます。透析終了時には、回路内の血液を生理食塩水で返血し、針を抜いて穿刺部位を圧迫止血します。その後、体重と血圧を測定し、体調を確認して帰宅となります。一連の流れは標準化されており、安全に配慮して実施されます。

透析中と透析後の体調変化への対応

透析中には、血圧低下、筋肉のけいれん(こむら返り)、吐き気、頭痛などの症状が現れることがあります。これらは主に、急激な除水や電解質バランスの変化によって生じます。症状が現れた場合は、すぐにスタッフに伝えることが重要です。透析条件の調整や生理食塩水の補給により、多くの症状は改善します。 透析後は疲労感や脱力感を感じることがあります。これは透析による身体への負担や貧血の影響です。透析後は無理をせず、十分な休息をとることが推奨されます。帰宅後も体重や血圧を測定し、異常があれば透析施設に連絡します。透析と透析の間は、食事療法と水分管理を継続し、次回の透析に備えます。長期的には、透析効率を評価するための血液検査が定期的に実施され、必要に応じて透析条件が見直されます。体調の変化を観察し、適切に対応することで、安全に透析治療を継続できます。