「透析」が必要となる状態をご存じですか? 透析治療の“役割”も医師が解説
更新日:2025/11/17

透析治療は、失われた腎臓の働きを人工的に代行する治療法です。体内に蓄積した老廃物や余分な水分を除去し、電解質のバランスを整えることで生命を維持します。ここでは透析が必要となる身体の状態や腎機能の評価方法、透析が果たす具体的な役割について詳しく解説します。治療を理解することで、より安心して向き合うことができるでしょう。

監修医師:
浅川 貴介(医師)
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【経歴】
2004年 私立海城高等学校卒業
2010年 私立東邦大学医学部卒業 医師免許取得
2012年 公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年 東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
2018年 医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年 浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医
2004年 私立海城高等学校卒業
2010年 私立東邦大学医学部卒業 医師免許取得
2012年 公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年 東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
2018年 医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年 浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医
透析治療の基本的な仕組みと目的
透析治療は腎臓の働きを人工的に代行する治療法です。腎臓が正常に機能しなくなると、血液中の老廃物や余分な水分を体外に排出できなくなり、体内環境が悪化します。透析はこの失われた機能を補い、体内環境を整えることで生命を維持する役割を担います。透析が必要となる状態と腎機能の評価
腎臓の機能は糸球体濾過量(GFR)という指標で評価されます。健康な人では、GFRはおよそ100mL/分/1.73㎡です。 この数値が15mL/分/1.73㎡を下回ると、腎臓の働きが大きく低下した「末期腎不全」と診断され、透析を始めるかどうかを検討する段階に入ります。ただし、透析を始めるかどうかは数値だけでは決まりません。倦怠感(だるさ)や食欲不振、吐き気などの尿毒症の症状、さらに全身の状態を含めて総合的に判断します。 透析導入の際には、日本透析医学会が定める「慢性透析療法の導入基準」が参考にされます。この基準では、腎機能の低下に加え、貧血や電解質の異常、心不全などの症状も考慮されます。医師は、患者さんの年齢や持病、生活背景なども踏まえて、適切なタイミングを見極めます。透析の導入時期は人によって異なり、症状の進行速度や体の状態によって前後することがあります。透析治療が果たす役割と体内環境の維持
透析治療は大きく分けて3つの役割を担っています。第一に老廃物の除去です。尿素窒素やクレアチニンといった代謝産物を血液中から取り除きます。第二に電解質バランスの調整です。カリウム、リン、ナトリウムなどの濃度を適正範囲に保ちます。第三に水分の除去です。体内に蓄積した余分な水分を取り除き、浮腫や心不全を防ぎます。 これらの機能により、透析治療は単に老廃物を除去するだけでなく、体液を一定に保つ重要な役割を果たしています。適切な透析治療を継続することで、尿毒症の症状を抑え、日常生活を送ることが可能になります。ただし、透析では腎臓が持つホルモン分泌機能(エリスロポエチン産生など)は代替できないため、薬物療法との併用が必要です。貧血の管理や骨代謝の調整には、それぞれに対応した薬剤が処方されます。まとめ
透析治療は、適切な知識と自己管理により、多くの方が長期的に継続し、充実した日常生活を送っています。血液透析と腹膜透析にはそれぞれの特徴があり、ライフスタイルや身体状態に応じて選択できます。食事療法や水分管理、感染予防などの日常的なケアが、治療効果を高め、合併症を防ぐ鍵となります。体調変化を早期に察知し、医療スタッフと密に連携することで、より安全で快適な透析生活が実現します。疑問や不安がある場合は、遠慮なく専門機関に相談し、適切な支援を受けることが大切です。参考文献