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「頭痛の中で緊急性が高いケース」をご存じですか? 突然の激しい痛みの見極め方を医師が解説

 公開日:2025/12/08
受診が必要な頭痛の見極め方

すべての頭痛が緊急を要するわけではありませんが、危険な頭痛を見逃さないための知識は重要です。突然の激しい頭痛や神経症状を伴う頭痛は、重大な疾患のサインである可能性があります。いつもと異なる頭痛には警戒が必要です。早急な受診が必要な頭痛の特徴について解説していきます。

石井 映幸

監修医師
石井 映幸(医師)

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【経歴】
帝京大学医学部を卒業。同脳神経外科教室に入局し、医学博士取得。医局長、医学部講師を経て現職。帝京大学医学部非常勤講師、湘南医療大学臨床教授を兼務
【資格】
・日本脳神経外科 専門医
・医学博士
・臨床研修指導医
・日本スポーツ協会公認スポーツドクター
・日本パラスポーツ協会公認パラスポーツ医
・認知症サポート医
・脳神経外科認知症 認定医

受診が必要な頭痛の見極め方

すべての頭痛が緊急を要するわけではありませんが、危険な頭痛を見逃さないための知識は重要です。突然の激しい頭痛や神経症状を伴う頭痛は、早急な受診が必要です。

突然発症した激しい頭痛

頭痛の中で緊急性が高いのは、突然始まる激烈な頭痛です。前述のくも膜下出血がその代表例で、発症から数秒から数分で痛みがピークに達します。「人生で経験した中でもっとも強い頭痛」と表現されることが多く、このような頭痛を経験した場合は、たとえ痛みが軽減したとしても、直ちに救急受診が必要です。

突然の激しい頭痛は、運動中や排便時のいきみ、性行為中など、血圧が上昇する場面で起こることもあります。また、頭部外傷後に起こる頭痛も注意が必要で、急性硬膜下血腫や脳挫傷などの可能性があります。急性硬膜外血腫などは、意識清明期(ルシッドインターバル)があり、少し遅れて症状が出ることがあります。軽い打撲であっても、特に高齢者や抗凝固薬を服用している方では、慎重な経過観察が求められます。

突然の頭痛に意識障害、嘔吐、項部硬直、神経症状などが伴う場合は、さらに緊急性が高まります。救急車を要請し、横になって安静にしながら医療機関への到着を待つことが適切です。

神経症状を伴う頭痛

頭痛と同時に神経学的な症状が現れる場合は、脳の器質的な異常を示唆している可能性があり、速やかな医療機関受診が推奨されます。注意すべき神経症状としては、片側の手足の麻痺や脱力、顔の歪み、言語障害(言葉が出ない、ろれつが回らない、言っていることが理解できない)、視野欠損や複視(物が二重に見える)などがあります。

バランスの異常やめまい、歩行困難、協調運動障害なども重要なサインです。偏頭痛の前兆でも一時的な神経症状が現れますが、通常60分以内に完全に回復します。それを超えて症状が続く場合や、これまで経験したことのない症状が現れた場合は、他の疾患を考慮する必要があります。

意識レベルの低下、見当識障害(時間や場所がわからなくなる)、人格変化、記憶障害なども危険なサインです。けいれん発作を伴う場合は、脳炎や脳腫瘍、脳血管障害などの可能性があり、緊急の画像検査と治療が必要となることがあります。これらの症状が一つでも見られた場合は、躊躇せず救急受診を検討すべきです。偏頭痛の前兆との違いを理解し、いつもと異なる症状には警戒することが大切です。

まとめ

偏頭痛は拍動性の痛みや随伴症状が特徴的な疾患ですが、その症状や種類は多様です。前兆の有無、頻度、慢性化の程度によって、適切な対処法が異なります。視覚性前兆や感覚障害などの前兆症状を理解することで、早期の対処が可能になる場合もあります。

頭痛のパターンに変化が見られた場合や日常生活に支障が出ている場合は、専門医への相談をおすすめします。適切な診断と治療により、生活の質を大きく改善することが期待できます。偏頭痛は我慢する疾患ではなく、適切に対処することで改善が見込める疾患です。困っていることがあれば、頭痛外来や神経内科などの専門診療科を受診し、ご自身に合った治療法を見つけることが大切です。

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