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「いつもと違う頭痛」をどう判断する? くも膜下出血・脳出血を含む危険な症状を医師が解説

 公開日:2025/12/07
脳血管障害による頭痛

偏頭痛と混同されやすい危険な頭痛として、脳血管障害に伴う頭痛があります。くも膜下出血や脳梗塞、脳出血などは命に関わる疾患であり、早急な対応が必要です。突然の激しい頭痛や神経症状を伴う頭痛は、重大な疾患のサインかもしれません。脳血管障害による頭痛の特徴について確認していきます。

石井 映幸

監修医師
石井 映幸(医師)

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【経歴】
帝京大学医学部を卒業。同脳神経外科教室に入局し、医学博士取得。医局長、医学部講師を経て現職。帝京大学医学部非常勤講師、湘南医療大学臨床教授を兼務
【資格】
・日本脳神経外科 専門医
・医学博士
・臨床研修指導医
・日本スポーツ協会公認スポーツドクター
・日本パラスポーツ協会公認パラスポーツ医
・認知症サポート医
・脳神経外科認知症 認定医

脳血管障害による頭痛

偏頭痛と混同されやすい危険な頭痛として、脳血管障害に伴う頭痛があります。早急な対応が必要なサインを見極めることが重要です。

くも膜下出血の頭痛

くも膜下出血は、脳を覆う膜の一つであるくも膜の下に出血が起こる重篤な疾患です。特徴は、「今までに経験したことがないような激しい頭痛」が突然始まることです。患者さんは「バットで殴られたような」「頭が割れるような」と表現されることが多く、痛みの発症は秒単位でピークに達します。 頭痛以外にも、吐き気や嘔吐、意識障害、項部硬直(首の後ろが硬くなる)などの症状が伴います。軽症の場合は意識がはっきりしていることもありますが、重症例では昏睡状態に陥ることもあります。発症後、数時間から数日で状態が急速に悪化する可能性があるため、このような頭痛を経験した場合は、直ちに救急受診が必要です。 くも膜下出血の原因の多くは、脳動脈瘤の破裂です。40から60歳代に多く発症しますが、若年者でも起こりえます。喫煙、高血圧、過度の飲酒などはリスク因子として知られています。診断にはCT検査やMRI検査、必要に応じて腰椎穿刺が行われます。早期発見と早期治療が予後を大きく左右するため、疑わしい症状がある場合は躊躇なく医療機関を受診することが重要です。「いつもと違う激しい頭痛」は、緊急性の高いサインと認識しておくべきです。

脳梗塞や脳出血に伴う頭痛

脳梗塞や脳出血も、見逃してはならない危険な頭痛の原因です。脳梗塞では頭痛を伴わないこともありますが、特に脳の後方部分(後頭葉や小脳)の梗塞では頭痛が現れることがあります。頭痛と同時に、片側の手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくい、ろれつが回らない、視野の一部が欠ける、ふらつくといった神経症状が現れることが特徴です。 脳出血では、中等度から重度の頭痛が比較的急に始まります。高血圧が背景にあることが多く、意識障害や嘔吐を伴うことも少なくありません。出血の部位によって、片麻痺、感覚障害、言語障害などさまざまな神経症状が出現します。 これらの症状が現れた場合は、一刻も早い治療開始が転帰を改善するため、速やかに救急車を呼ぶべきです。脳梗塞では発症後4.5時間以内であれば血栓溶解療法が適応となる場合があり、「時間との勝負」という側面があります。特に顔の歪み、腕の脱力、言葉の異常(FAST:Face-Arm-Speech-Time)が見られた場合は、すぐに救急要請を行うことが推奨されます。頭痛に神経症状が伴う場合は、偏頭痛とは異なる疾患の可能性を考え、早急な対応が必要です。

まとめ

偏頭痛は拍動性の痛みや随伴症状が特徴的な疾患ですが、その症状や種類は多様です。前兆の有無、頻度、慢性化の程度によって、適切な対処法が異なります。視覚性前兆や感覚障害などの前兆症状を理解することで、早期の対処が可能になる場合もあります。 頭痛のパターンに変化が見られた場合や日常生活に支障が出ている場合は、専門医への相談をおすすめします。適切な診断と治療により、生活の質を大きく改善することが期待できます。偏頭痛は我慢する疾患ではなく、適切に対処することで改善が見込める疾患です。困っていることがあれば、頭痛外来や神経内科などの専門診療科を受診し、ご自身に合った治療法を見つけることが大切です。

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