「前兆のない偏頭痛の特徴」を医師が解説 慢性化しやすい人の共通点とは

前兆のない偏頭痛

偏頭痛患者さんの大半を占めるのが、前兆のない偏頭痛です。前兆期を経ずに頭痛が始まり、発作の予測が難しいという特徴があります。

前兆のない偏頭痛の特徴

前兆のない偏頭痛は、視覚症状やしびれなどの前兆を伴わずに、直接頭痛が始まるタイプです。偏頭痛全体の約70から80%を占めており、もっとも一般的な形態といえます。女性に多く見られ、特に生理周期と関連して発作が起こることが少なくありません。 このタイプの偏頭痛でも、拍動性の痛み、片側性(または両側性)の痛み、日常動作による悪化、吐き気や嘔吐、光過敏や音過敏などの典型的な偏頭痛の症状は同様に現れます。痛みの強さや持続時間も前兆のある偏頭痛と大きな差はありませんが、発作の頻度は個人差が大きく、月に1から2回程度の方から、週に数回発作を経験する方まで幅広く見られます。 前兆のない偏頭痛は、前兆のあるタイプよりも慢性化しやすい傾向があるとの報告もあります。また、前兆がないため発作の予測が難しく、突然の痛みに対処しなければならないという心理的な負担を感じる方もいます。ただし、発作の誘因となる要因を把握することで、ある程度の予防や対処が可能になる場合があります。

前兆のない偏頭痛の診断と特徴的なパターン

前兆のない偏頭痛の診断には、少なくとも5回以上の発作を経験していることが必要とされます。頭痛の持続時間は4から72時間(治療しない場合または治療が無効な場合)で、片側性、拍動性、中等度から重度の痛み、日常動作による悪化のうち少なくとも2つの特徴を満たすことが求められます。 さらに、吐き気や嘔吐、光過敏と音過敏のいずれかを伴うことも診断基準に含まれます。これらの基準を満たし、かつ他の疾患では説明できない頭痛であることが確認されることで、前兆のない偏頭痛と診断されます。 患者さんによっては、発作が起こりやすい時間帯や状況に一定のパターンが見られることがあります。週末や休日に発作が起こりやすい方、睡眠不足や過度の睡眠後に発作が起こる方、特定の食品や飲料を摂取した後に発作が起こる方など、さまざまなパターンが報告されています。これらのパターンを把握することは、予防的な対策を立てるうえで有用です。頭痛日記をつけて、発作の状況や誘因を記録しておくと、パターンの把握や医師への説明に役立ちます。