「前兆のある偏頭痛の特徴」をご存じですか? 痛みが出る前に現れる危険なサインとは【医師監修】
公開日:2025/12/01

偏頭痛は前兆の有無によって分類されます。前兆のある偏頭痛は、脳内の神経活動の変化によって特有の症状が現れるタイプです。視覚症状やしびれなどが徐々に進行し、その後に頭痛が始まります。診断基準やメカニズムを理解することで、適切な対処が可能になります。前兆のある偏頭痛について詳しく解説します。

監修医師:
石井 映幸(医師)
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【経歴】
帝京大学医学部を卒業。同脳神経外科教室に入局し、医学博士取得。医局長、医学部講師を経て現職。帝京大学医学部非常勤講師、湘南医療大学臨床教授を兼務
【資格】
・日本脳神経外科 専門医
・医学博士
・臨床研修指導医
・日本スポーツ協会公認スポーツドクター
・日本パラスポーツ協会公認パラスポーツ医
・認知症サポート医
・脳神経外科認知症 認定医
帝京大学医学部を卒業。同脳神経外科教室に入局し、医学博士取得。医局長、医学部講師を経て現職。帝京大学医学部非常勤講師、湘南医療大学臨床教授を兼務
【資格】
・日本脳神経外科 専門医
・医学博士
・臨床研修指導医
・日本スポーツ協会公認スポーツドクター
・日本パラスポーツ協会公認パラスポーツ医
・認知症サポート医
・脳神経外科認知症 認定医
目次 -INDEX-
前兆のある偏頭痛
偏頭痛は前兆の有無によって分類されます。前兆のある偏頭痛は、特有のメカニズムと診断基準を持ち、適切な理解が対処に役立ちます。前兆のメカニズムと症状の経過
前兆のある偏頭痛は、脳内で「皮質拡延性抑制(cortical spreading depression)」と呼ばれる現象が起こることで発症すると考えられています。これは、脳の神経細胞の活動が一時的に変化し、波のように広がっていく現象です。この神経活動の変化が後頭葉に達すると視覚症状が現れ、感覚野に達するとしびれが生じます。 前兆症状は通常5分から60分かけて徐々に進行し、一つの症状が完全に現れてから次の症状が始まることが特徴です。例えば、視覚症状が完全に出現した後にしびれが始まるといった順序性があります。前兆が終わると、多くの場合60分以内に頭痛が始まりますが、まれに頭痛を伴わない前兆のみのケースもあります。 また、加齢とともに頭痛は軽減する一方で、前兆症状のみが残ることもあります。前兆症状の頻度や内容は個人によって異なり、毎回同じパターンを示す方もいれば、発作ごとに異なる前兆を経験する方もいます。前兆が現れたときは、早めに対処薬を服用したり安静にしたりすることで、頭痛の程度を軽減できる場合があります。前兆のある偏頭痛の診断基準
前兆のある偏頭痛の診断には、国際頭痛分類に基づいた明確な基準が設けられています。視覚症状、感覚症状、言語症状などの前兆が少なくとも一つ以上あり、それぞれの症状が5分以上かけて徐々に進展すること、各前兆症状が5分から60分持続すること、前兆に引き続いて60分以内に頭痛が始まることなどが診断のポイントとなります。 前兆症状は完全に可逆的であることが重要で、永続的な神経学的異常が残る場合は他の疾患を考慮する必要があります。また、前兆のある偏頭痛の診断には典型的発作が少なくとも2回あることが求められます。 診断に際しては、一過性脳虚血発作や脳卒中、てんかんなど、類似した症状を示す他の疾患との鑑別が重要です。特に初めて前兆症状を経験した場合や、これまでと異なるパターンの前兆が現れた場合は、専門医による評価が推奨されます。画像検査や脳波検査などを行い、器質的な異常がないことを確認することも、適切な診断のために必要な場合があります。まとめ
偏頭痛は拍動性の痛みや随伴症状が特徴的な疾患ですが、その症状や種類は多様です。前兆の有無、頻度、慢性化の程度によって、適切な対処法が異なります。視覚性前兆や感覚障害などの前兆症状を理解することで、早期の対処が可能になる場合もあります。 頭痛のパターンに変化が見られた場合や日常生活に支障が出ている場合は、専門医への相談をおすすめします。適切な診断と治療により、生活の質を大きく改善することが期待できます。偏頭痛は我慢する疾患ではなく、適切に対処することで改善が見込める疾患です。困っていることがあれば、頭痛外来や神経内科などの専門診療科を受診し、ご自身に合った治療法を見つけることが大切です。参考文献