「偏頭痛で受診すべきタイミング」とは? パターン変化の見極めポイントを医師が解説

危険な頭痛以外でも、適切なタイミングでの受診が偏頭痛の管理と生活の質の向上につながります。頭痛の頻度や強さに変化があった場合や、日常生活に支障が出ている場合は専門医への相談が有益です。適切な治療により症状をコントロールできる可能性があります。受診を検討すべきタイミングについて確認しましょう。

監修医師:
石井 映幸(医師)
帝京大学医学部を卒業。同脳神経外科教室に入局し、医学博士取得。医局長、医学部講師を経て現職。帝京大学医学部非常勤講師、湘南医療大学臨床教授を兼務
【資格】
・日本脳神経外科 専門医
・医学博士
・臨床研修指導医
・日本スポーツ協会公認スポーツドクター
・日本パラスポーツ協会公認パラスポーツ医
・認知症サポート医
・脳神経外科認知症 認定医
偏頭痛で受診すべきタイミング
危険な頭痛以外でも、適切なタイミングでの受診が、偏頭痛の管理と生活の質の向上につながります。頭痛のパターンに変化があった場合や日常生活に支障が出ている場合は、専門医への相談が有益です。
頭痛の頻度や強さが変化したとき
長年偏頭痛を持っている方でも、頭痛のパターンに変化が現れた場合は受診を検討すべきです。具体的には、頭痛の頻度が明らかに増加した、痛みの強さが以前より増している、頭痛の持続時間が長くなった、これまで効いていた薬が効かなくなった、といった変化が見られる場合です。
また、頭痛の性質が変わった場合も注意が必要です。例えば、いつもは片側だったのに両側になった、拍動性だったのに締め付けられるような痛みに変わった、随伴症状が増えたり変化したりした、などの変化は、新たな疾患の発症や慢性偏頭痛への移行を示唆している可能性があります。
日常生活に支障が出ている場合
頭痛によって仕事や学業、家事、社会活動に支障が出ている場合は、たとえ頭痛自体が危険なものでなくても、医療機関での相談が有益です。月に数回以上頭痛で欠勤や欠席をする、頭痛のために予定をキャンセルすることが頻繁にある、頭痛への不安で日常生活が制限されている、といった状況は、治療や予防的介入の適応となります。
偏頭痛は適切な治療により、発作の頻度や強さをコントロールすることが可能です。予防薬の使用、トリプタン系薬剤などの急性期治療薬の適正使用、生活習慣の改善などにより、多くの患者さんが生活の質を向上させています。「頭痛くらいで」と我慢せず、困っていることがあれば、頭痛外来や神経内科などの専門診療科を受診することをおすすめします。適切な治療により、日常生活への影響を大きく軽減できる可能性があります。
まとめ
偏頭痛は拍動性の痛みや随伴症状が特徴的な疾患ですが、その症状や種類は多様です。前兆の有無、頻度、慢性化の程度によって、適切な対処法が異なります。視覚性前兆や感覚障害などの前兆症状を理解することで、早期の対処が可能になる場合もあります。
頭痛のパターンに変化が見られた場合や日常生活に支障が出ている場合は、専門医への相談をおすすめします。適切な診断と治療により、生活の質を大きく改善することが期待できます。偏頭痛は我慢する疾患ではなく、適切に対処することで改善が見込める疾患です。困っていることがあれば、頭痛外来や神経内科などの専門診療科を受診し、ご自身に合った治療法を見つけることが大切です。
参考文献