「胃カメラ検査前」はどんなことに気を付けたらいいかご存知ですか？【医師監修】
検査を安全かつ効果的に実施するためには、適切な事前準備が欠かせません。食事や服薬の調整を正しく行うことで、検査の精度が向上し、合併症のリスクも軽減されます。ここでは検査前日から当日にかけての具体的な準備内容と、リラックスして検査を受けるためのコツについてご説明します。しっかりと準備を整えることで、より良い検査結果が得られるでしょう。
監修医師：
前畑 忠輝（医師）
2001年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業。聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科に入局後、札幌医科大学第一内科にて消化器がんの発がんに関する遺伝子研究にて学位取得。専門は消化器内科、特に消化管がんの内視鏡診断と治療。最近まで慶應義塾大学医学部腫瘍センターに所属し、世界的名医の片腕として主に内視鏡診断および治療を行いながら、消化器がんに対する低侵襲療法の研究および医療機器の開発に取り組み、国内外で研究発表するだけでなく、招待講演や海外医師の実技指導、ライブデモンストレーションなどを行っていた。2020年4月より聖マリアンナ医科大学消化器内科教授として活動している。また、臨床研修センター副センター長として研修医採用の責任者も兼任している。
最近は、専門である内視鏡診断・治療技術の開発だけでなく、VRを用いた医療技術の開発、消化管内の創傷治癒に対する東京大学理工学部との共同研究、小児や成人の腸内細菌を用いた研究などを行なっている。
【資格】
消化器内視鏡専門医・指導医・学術評議員
消化器病専門医・指導医・支部評議員
消化管学会専門医・指導医・代議員
目次 -INDEX-
検査前の準備と心構え
胃カメラ検査を安全かつ効果的に実施するためには、適切な事前準備が不可欠です。準備を整えることで検査の精度が向上し、合併症のリスクも軽減されます。
食事制限と服薬の調整
胃カメラ検査の前日は、夕食を早めの時間(午後8時頃まで)に済ませ、消化の良いものを選びます。脂っこいものや繊維質の多い食品は避け、アルコールも控えることが推奨されます。検査当日は絶食が原則で、水やお茶などの透明な水分は検査2時間前まで摂取可能です。
常用薬については、血圧の薬など継続が必要なものは少量の水で服用しますが、糖尿病の薬は低血糖や脱水のリスクがあるため、検査当日の服薬は医師の指示に従って調整します。自己判断での休薬は避けてください。抗凝固薬や抗血小板薬を服用している方は、組織採取やポリープ切除を行う可能性がある場合、事前に休薬または代替療法への切り替えが必要になることがあります。これらの調整は必ず主治医と相談して決定してください。自己判断での休薬は重大な合併症につながる可能性があります。事前の準備を適切に行うことで、安全な検査が可能になります。
リラックスして検査を受けるコツ
検査への不安は、筋肉の緊張を招き、かえって苦痛を増強させることがあります。深呼吸を意識的に行い、肩の力を抜いてリラックスすることが重要です。検査中は鼻からゆっくり息を吸い、口から吐く腹式呼吸を心がけると、咽頭の緊張が和らぎます。
つばを無理に飲み込もうとせず、口の端から自然に流れ出るに任せることも、楽に受けるためのポイントです。また、検査室のスタッフとコミュニケーションを取り、不安や苦しさを素直に伝えることで、適切なサポートを受けられます。事前に検査の流れを理解しておくことも不安軽減に役立ちます。医療機関によっては、検査前に説明動画を視聴できる場合もあるため、活用されることをおすすめします。心の準備を整えることで、検査はより楽に受けられるでしょう。
まとめ
胃カメラ検査は、早期に病変を発見し適切な治療につなげるための重要な検査です。検査頻度は年齢やリスク因子によって異なりますが、ピロリ菌感染歴のある方や家族歴のある方は、より短い間隔での検査が推奨されます。ポリープが見つかっても多くは良性であり、適切な経過観察や必要に応じた切除によって対応可能です。
検査時の苦痛に関しても、鎮静剤の使用や経鼻内視鏡の選択により大幅に軽減できます。症状がある場合や健診で異常を指摘された際には、定期検査を待たずに速やかな受診が重要です。ご自身の状態に合わせた適切な検査計画について、専門の医師にご相談ください。早期発見は良好な予後につながる可能性を高めます。
参考文献
