「ピロリ菌陽性者」はどれくらいの頻度で検査を受けた方がいいの?【医師監修】
公開日:2025/11/28

ピロリ菌の感染状態は、胃がんリスクを大きく左右する重要な因子です。感染の有無や除菌治療の成否によって、その後の検査計画が変わってきます。ここではピロリ菌陽性の方の検査スケジュールと、除菌後に必要なフォローアップについて解説します。適切な管理によって、長期的な健康維持が期待できます。

監修医師:
前畑 忠輝(医師)
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【経歴】
2001年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業。聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科に入局後、札幌医科大学第一内科にて消化器がんの発がんに関する遺伝子研究にて学位取得。専門は消化器内科、特に消化管がんの内視鏡診断と治療。最近まで慶應義塾大学医学部腫瘍センターに所属し、世界的名医の片腕として主に内視鏡診断および治療を行いながら、消化器がんに対する低侵襲療法の研究および医療機器の開発に取り組み、国内外で研究発表するだけでなく、招待講演や海外医師の実技指導、ライブデモンストレーションなどを行っていた。2020年4月より聖マリアンナ医科大学消化器内科教授として活動している。また、臨床研修センター副センター長として研修医採用の責任者も兼任している。
最近は、専門である内視鏡診断・治療技術の開発だけでなく、VRを用いた医療技術の開発、消化管内の創傷治癒に対する東京大学理工学部との共同研究、小児や成人の腸内細菌を用いた研究などを行なっている。
【資格】
消化器内視鏡専門医・指導医・学術評議員
消化器病専門医・指導医・支部評議員
消化管学会専門医・指導医・代議員
2001年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業。聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科に入局後、札幌医科大学第一内科にて消化器がんの発がんに関する遺伝子研究にて学位取得。専門は消化器内科、特に消化管がんの内視鏡診断と治療。最近まで慶應義塾大学医学部腫瘍センターに所属し、世界的名医の片腕として主に内視鏡診断および治療を行いながら、消化器がんに対する低侵襲療法の研究および医療機器の開発に取り組み、国内外で研究発表するだけでなく、招待講演や海外医師の実技指導、ライブデモンストレーションなどを行っていた。2020年4月より聖マリアンナ医科大学消化器内科教授として活動している。また、臨床研修センター副センター長として研修医採用の責任者も兼任している。
最近は、専門である内視鏡診断・治療技術の開発だけでなく、VRを用いた医療技術の開発、消化管内の創傷治癒に対する東京大学理工学部との共同研究、小児や成人の腸内細菌を用いた研究などを行なっている。
【資格】
消化器内視鏡専門医・指導医・学術評議員
消化器病専門医・指導医・支部評議員
消化管学会専門医・指導医・代議員
目次 -INDEX-
ピロリ菌と検査頻度の関係
ピロリ菌の感染状態は、胃がんリスクや胃カメラの推奨頻度を決定する重要な因子です。感染の有無によって胃粘膜の状態や将来のリスクが大きく異なります。ピロリ菌陽性者の検査計画
ピロリ菌に感染している方は、慢性胃炎から萎縮性胃炎へと進行し、胃がんのリスクが未感染者に比べて数倍高くなることが知られています。したがって、ピロリ菌陽性と判明した場合には、まず除菌治療を受けることが推奨されます。除菌治療は1週間の内服治療で、近年の一次除菌成功率は80〜90%前後、二次除菌まで含めると95%以上に達すると報告されています。 除菌前の段階では、年1回の胃カメラ検査が望ましいとされています。胃粘膜の萎縮の程度や腸上皮化生の有無によっては、より短い間隔での検査が必要になることもあります。除菌治療の成功後も、すでに生じた胃粘膜の変化は完全には元に戻らないため、継続的な経過観察が必要です。ピロリ菌感染が確認された場合は、速やかに除菌治療を受け、その後も定期的な検査を継続することが重要です。除菌後のフォローアップ戦略
ピロリ菌除菌に成功した後も、胃がん発生リスクが大きく下がりますが、完全にゼロではなく、未感染者より少し高い程度のリスクが残ります。特に除菌時点で萎縮性胃炎が進行していた方は、除菌後も定期的な検査が重要です。一般的には除菌後も年1回の胃カメラが推奨されますが、萎縮の程度が軽度で除菌年齢が若い場合には、1年から2年ごとの検査でも十分な場合があります。 除菌後の胃粘膜は時間とともに改善し、炎症が軽減することで胃がんリスクも徐々に低下していきます。ただし、除菌後数年間は胃がんの発見される可能性が比較的高いという報告もあり、この期間は特に慎重な観察が求められます。除菌後の定期検査では、残存する萎縮や腸上皮化生の範囲を評価し、新たな病変の出現がないかを確認します。除菌成功後も油断せず、継続的なフォローアップを心がけましょう。まとめ
胃カメラ検査は、早期に病変を発見し適切な治療につなげるための重要な検査です。検査頻度は年齢やリスク因子によって異なりますが、ピロリ菌感染歴のある方や家族歴のある方は、より短い間隔での検査が推奨されます。ポリープが見つかっても多くは良性であり、適切な経過観察や必要に応じた切除によって対応可能です。 検査時の苦痛に関しても、鎮静剤の使用や経鼻内視鏡の選択により大幅に軽減できます。症状がある場合や健診で異常を指摘された際には、定期検査を待たずに速やかな受診が重要です。ご自身の状態に合わせた適切な検査計画について、専門の医師にご相談ください。早期発見は良好な予後につながる可能性を高めます。参考文献