日々の食材選びと調理の工夫が、血糖値の安定に大きく影響します。食物繊維の多い食材や、糖の吸収を穏やかにする調理法を取り入れることで、血糖上昇を抑えられます。揚げ物より蒸し料理や煮物を選ぶなど、小さな工夫の積み重ねが効果を生みます。本章では、実践的な食材選びと調理のコツを紹介します。
監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
血糖値に配慮した食材選びと調理法
日々の食材選びと調理方法の工夫が、血糖値管理を大きくサポートします。特別な食材や複雑な調理法を必要とするわけではなく、身近な食材の特性を理解し、調理方法を少し工夫するだけで、血糖値への影響を変えることができます。
血糖値の上昇を緩やかにする食材
特定の食材は、血糖値の上昇を抑える働きを持っています。野菜類、特に葉物野菜や根菜類には食物繊維が豊富に含まれています。これらを食事の先頭に食べることで、その後に摂取する炭水化物の吸収を緩やかにする効果が期待できます。キャベツ、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜などはおすすめの食材です。
きのこ類や海藻類も、食物繊維が豊富で低カロリーという特徴があります。満腹感を得やすく、血糖値の急激な上昇を防ぐ助けとなります。
たんぱく質と脂質の適切な摂取
たんぱく質と脂質も、血糖値管理において重要な役割を担います。たんぱく質は筋肉の材料となり、基礎代謝の維持に欠かせません。たんぱく質は炭水化物に比べて血糖値の上昇が緩やかであり、満腹感も持続しやすいという特徴があります。
脂質については、質を重視した選択が重要です。青魚に含まれるオメガ3脂肪酸や、オリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸は、健康的な脂質として推奨されています。一方で、動物性脂肪や加工食品に含まれるトランス脂肪酸の過剰摂取は避けることが望ましいとされています。
調理方法による血糖値への影響
同じ食材でも、調理方法によって血糖値への影響が変わることがあります。野菜を生で食べるか加熱するかによって、血糖値の上昇速度が異なる場合があります。一般的に、加熱した野菜は柔らかくなり消化吸収が早くなるため、血糖値が上がりやすくなることがあります。ただし、加熱することで食べやすくなり、量を多く摂取できるという利点もあります。
調味料の使い方にも注意が必要です。砂糖やみりんを多用すると、知らず知らずのうちに糖質摂取量が増えてしまいます。だしの旨味を活かしたり、スパイスやハーブで風味をつけたりすることで、調味料を控えめにしても美味しく食べられる工夫ができます。
まとめ
血糖値の管理は、日々の積み重ねが重要な長期的な取り組みです。基準値を理解し、適切な食事と運動、必要に応じた薬物療法を組み合わせることで、良好なコントロールが可能になります。血糖値管理はダイエットとも密接に関連しており、適正体重の維持が血糖値の安定にもつながります。
血糖値に関する正しい知識を持ち、無理なく続けられる方法を見つけて実践することで、健康的な生活を送ることができるでしょう。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、専門家の指導を受けることをおすすめします。