自分の血糖状態を正確に把握するには、血糖値の基準と検査方法を理解することが不可欠です。空腹時血糖やHbA1cなど、検査ごとに示す意味が異なります。基準値を知ることで、糖尿病のリスクを早期に発見でき、効果的な予防や治療が可能になります。本章では、主要な検査項目とその見方をわかりやすく解説します。
監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
血糖値の基準値と検査の理解
血糖値の基準値を正しく理解することは、自分の健康状態を把握するために不可欠です。血糖値は測定のタイミングや条件によって異なる数値を示すため、それぞれの検査が何を意味しているのかを知ることが重要です。
各種血糖値検査の種類と意味
血糖値を測定する方法には、いくつかの種類があります。空腹時血糖値は、少なくとも8時間以上の絶食後に測定されます。一般的に、空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合は糖尿病型、110〜125mg/dLは境界型(糖尿病予備群)、109mg/dL以下が正常型とされています
食後血糖値は、食事開始から2時間後に測定されることが一般的です。食事開始から2時間後の血糖値(随時血糖値)で評価します。140mg/dL未満が正常型、200mg/dL以上は糖尿病型、その中間は「境界型(耐糖能異常)」とされます
HbA1cが示す長期的な血糖状態
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、過去1ヶ月から2ヶ月の平均的な血糖値を反映する指標です。赤血球中のヘモグロビンにブドウ糖が結合したものの割合を示すため、日々の血糖値の変動に左右されず、長期的な血糖管理状態を評価できます。HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、過去1〜2か月間の平均的な血糖状態を示す指標です。一般的に6.5%以上が糖尿病型とされ、6.0〜6.4%は糖尿病予備群の可能性がある範囲です。治療中の方では、合併症や年齢を考慮しつつ、7.0%未満を目標とすることが多いです。
HbA1cの数値が高い状態が続くと、糖尿病合併症のリスクが高まることが知られています。ただし、目標値は年齢や合併症の有無、低血糖のリスクなど個々の状況によって異なるため、医師と相談しながら適切な目標を設定することが重要です。
血糖値測定のタイミングと頻度
適切なタイミングで血糖値を測定することで、より正確な健康状態の把握ができます。定期的な健康診断では、空腹時血糖値やHbA1cが測定されることが一般的です。これらの検査は年に1回から2回程度受けることが推奨されています。特に40歳以上の方や、肥満、家族歴がある方は定期的な検査が重要です。
自宅で血糖値を測定する場合は、測定のタイミングが結果の解釈に影響を与えます。空腹時、食前、食後2時間、就寝前など、さまざまなタイミングでの測定が行われます。どのタイミングで測定するかは、治療の内容や目的によって異なるため、医師の指示に従うことが大切です。
まとめ
血糖値の管理は、日々の積み重ねが重要な長期的な取り組みです。基準値を理解し、適切な食事と運動、必要に応じた薬物療法を組み合わせることで、良好なコントロールが可能になります。血糖値管理はダイエットとも密接に関連しており、適正体重の維持が血糖値の安定にもつながります。
血糖値に関する正しい知識を持ち、無理なく続けられる方法を見つけて実践することで、健康的な生活を送ることができるでしょう。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、専門家の指導を受けることをおすすめします。