目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. バセドウ病の身体変化とは?皮膚の湿潤や痒み、階段がつらい筋力低下などの症状

バセドウ病の身体変化とは?皮膚の湿潤や痒み、階段がつらい筋力低下などの症状

 公開日:2025/12/07
皮膚と筋肉に現れる症状

甲状腺ホルモンの過剰分泌は皮膚や筋肉組織にも影響を与え、外見上の変化や身体機能の低下として現れることがあります。これらの症状は患者さん自身が鏡を見たときや、日常動作を行う際に気づくきっかけとなります。ここでは皮膚と筋肉に関連する具体的な症状について見ていきます。

久高 将太

監修医師
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

プロフィールをもっと見る
琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

皮膚と筋肉に現れる症状

バセドウ病は皮膚や筋肉にもさまざまな影響を及ぼします。これらの症状は見た目の変化を伴うこともあり、患者さん自身や周囲の方が気づくきっかけとなることがあります。

皮膚の変化と湿潤

甲状腺ホルモンの過剰により皮膚の血流が増加し、皮膚が温かく湿った状態になります。触れるとしっとりとした感触があり、顔色が赤みを帯びることもあります。皮膚が薄くなったように感じる方もおり、血管が透けて見えやすくなることもあります。

また、まれに下腿の前面に粘液水腫と呼ばれる皮膚の肥厚や硬化が生じることがあります。これは脛前粘液水腫と呼ばれ、バセドウ病に特徴的な皮膚症状です。赤褐色や皮膚色の隆起として現れ、表面がオレンジの皮のようにごつごつした質感になることがあります。すべてのバセドウ病の方に見られるわけではありませんが、出現した場合は診断の重要な手がかりとなります。

筋力低下と疲労感

バセドウ病では筋肉の代謝も亢進し、筋力低下が生じやすくなります。階段を上るのがつらい、立ち上がるのに苦労する、重いものを持てなくなったといった症状が現れます。特に太ももや肩の筋肉に影響が出やすく、日常生活動作に支障をきたすこともあります。

全身の疲労感や倦怠感も強く、十分に休んでも疲れが取れない感覚が続きます。活動的だった方が急に疲れやすくなり、以前のように動けなくなることで生活の質が低下します。筋力低下と疲労感は治療により改善することが多いため、早期の対応が重要です。

まとめ

バセドウ病は多様な症状を引き起こす自己免疫疾患ですが、早期発見と適切な治療により症状をコントロールすることが可能です。動悸や体重減少、手の震え、目の症状など気になる変化があれば、内分泌内科や甲状腺専門外来を受診することが推奨されます。特に女性や若年者、家族歴のある方、喫煙習慣のある方はリスクが高いため注意が必要です。甲状腺機能の検査は血液検査で簡単に行えます。症状を放置すると心臓や骨に影響が出ることもあるため、早めの対処が重要です。適切な治療により多くの方が日常生活を問題なく送れるようになるでしょう。
気になる症状がある場合には、内科・内分泌内科や眼科を受診し、専門的な評価と治療を受けることをおすすめします。

この記事の監修医師

注目記事