医師が警告!コーヒーが引き起こす「下痢・腹痛」の裏側 過敏性腸症候群が悪化するメカニズム
公開日:2025/11/08

コーヒーは消化器系にもさまざまな作用をもたらします。胃酸の分泌を促進したり、腸の運動を活発化させたりする働きがありますが、体質によっては不快な症状を引き起こすこともあります。胃炎や過敏性腸症候群などの既往がある方は特に注意が必要です。消化器系への影響と、配慮すべきポイントについて解説します。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。
保有免許・資格
管理栄養士資格
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目次 -INDEX-
胃腸への負担と消化器系への影響
コーヒーは消化器系にもさまざまな影響を及ぼします。適度な摂取であれば問題ありませんが、体質や摂取方法によっては不快な症状を引き起こすことがあります。胃酸分泌の促進
コーヒーには胃酸の分泌を促進する作用があります。これは、コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸などの成分が、胃粘膜を刺激するためです。食後にコーヒーを飲む場合は、食べ物が胃内にあるため問題が生じにくいですが、空腹時にコーヒーを飲むと、過剰な胃酸が胃壁を刺激し、胃痛や胸やけを引き起こすことがあります。 特に、胃炎や胃潰瘍の既往がある方、胃酸過多の傾向がある方は注意が必要です。これらの方がコーヒーを飲むと、症状が悪化する可能性があります。また、逆流性食道炎の方にとっても、コーヒーは下部食道括約筋の圧力を低下させ、胃酸の逆流を助長する要因となることがあります。こうした消化器系の問題を抱えている方は、コーヒーの摂取を控えるか、医師に相談したうえで適切な量を判断することが望ましいです。腸の蠕動運動への作用
コーヒーには腸の蠕動運動を促進する作用があり、飲用後に便意を感じる方も少なくありません。これはカフェインだけでなく、コーヒーに含まれる他の成分も関与していると考えられています。適度な蠕動運動の促進は便秘の改善に役立つ可能性がありますが、過剰な刺激は下痢や腹痛を引き起こすことがあります。 特に、過敏性腸症候群(IBS)の方は、コーヒーの摂取により症状が悪化することがあります。IBSは腸の機能異常により、腹痛や下痢、便秘などの症状が慢性的に現れる疾患です。カフェインは腸の運動を活発化させるため、下痢型のIBSの方にとっては症状を増悪させる要因となり得ます。また、コーヒーの温度や飲む速度も影響するため、胃腸が敏感な方は、ゆっくりと少量ずつ飲むことを心がけると良いでしょう。まとめ
コーヒーには、2型糖尿病や肝疾患、パーキンソン病のリスク低減といった健康効果がある一方で、睡眠障害や胃腸への負担、血圧上昇といったデメリットも存在します。適切な摂取量は1日3杯から4杯程度とされていますが、個人差が大きいため、自身の体調や反応を観察しながら調整することが重要です。ダイエット効果については、カフェインによる脂肪燃焼促進や代謝向上が期待できるものの、コーヒーだけで体重が減少するわけではありません。バランスの取れた食事と運動を基本とし、コーヒーを補助的に活用することで、健康的な生活をサポートできるでしょう。気になる症状がある場合や持病をお持ちの方は、医療機関にご相談ください。参考文献