寝る前のコーヒーはなぜダメなのか管理栄養士が解説
公開日:2025/11/07

コーヒーを飲むうえで注意が必要なのが、カフェインが睡眠に及ぼす影響です。覚醒作用は日中のパフォーマンス向上に役立つ一方で、摂取のタイミングや量を誤ると睡眠の質を低下させてしまいます。睡眠サイクルへの影響やカフェイン依存のメカニズムについて、具体的に説明していきます。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。
保有免許・資格
管理栄養士資格
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目次 -INDEX-
カフェインによる睡眠への影響
コーヒーの飲用において注意すべき点の一つが、睡眠への影響です。カフェインの覚醒作用は有益な面もありますが、摂取のタイミングや量を誤ると睡眠の質を低下させてしまいます。睡眠サイクルの乱れ
カフェインは摂取後も長時間体内に留まります。個人差はありますが、カフェインの半減期(体内の濃度が半分になるまでの時間)は平均で4時間から6時間程度です。そのため、夕方以降にコーヒーを飲むと、就寝時刻になってもカフェインが体内に残り、寝つきが悪くなる可能性があります。 睡眠の質が低下すると、深い睡眠の時間が短縮され、身体の回復が不十分になります。カフェインは特に深睡眠(ノンレム睡眠の段階3と4)を減少させることが知られており、これにより翌日の疲労感が増すことがあります。慢性的な睡眠不足は、免疫機能の低下や生活習慣病のリスク増加につながるため、夜間の睡眠を確保することは健康維持に欠かせません。コーヒーを楽しむ際には、午後3時以降の摂取を控えることが一般的に推奨されます。カフェイン依存のメカニズム
カフェインを日常的に摂取していると、身体がカフェインに慣れてしまい、同じ効果を得るためにより多くの量が必要になることがあります。これは耐性と呼ばれる現象です。また、突然カフェインの摂取を中止すると、頭痛や倦怠感、集中力の低下といった離脱症状が現れることがあります。 カフェイン依存は、他の薬物依存と比較すると軽度ですが、日常生活に支障をきたすこともあります。特に、朝コーヒーを飲まないと頭が働かない、疲れるとすぐにコーヒーを飲む、といった習慣がある方は、カフェインへの依存が形成されている可能性があります。適度な摂取を心がけ、時折カフェインを摂らない日を設けることで、依存を避けることができます。また、徐々に摂取量を減らすことで、離脱症状を抑えることが可能です。まとめ
コーヒーには、2型糖尿病や肝疾患、パーキンソン病のリスク低減といった健康効果がある一方で、睡眠障害や胃腸への負担、血圧上昇といったデメリットも存在します。適切な摂取量は1日3杯から4杯程度とされていますが、個人差が大きいため、自身の体調や反応を観察しながら調整することが重要です。ダイエット効果については、カフェインによる脂肪燃焼促進や代謝向上が期待できるものの、コーヒーだけで体重が減少するわけではありません。バランスの取れた食事と運動を基本とし、コーヒーを補助的に活用することで、健康的な生活をサポートできるでしょう。気になる症状がある場合や持病をお持ちの方は、医療機関にご相談ください。参考文献