失明原因1位でも防げる?緑内障の失明率の真実と視力を守る治療継続の重要性

緑内障は適切な治療を受けないと失明に至る可能性がある疾患ですが、早期発見と継続的な治療によって失明を防ぐことは十分に可能です。日本における失明率の実態や、失明リスクを高める要因について正しく理解しておくことが大切です。ここでは、データに基づいた情報をお伝えします。

監修医師:
柿崎 寛子(医師)
目次 -INDEX-
緑内障の失明率とは
緑内障は適切な治療を受けないと失明に至る可能性がある疾患ですが、早期発見と継続的な治療によって失明を防ぐことは十分に可能です。失明率の実態と、失明を避けるための重要なポイントを理解しておきましょう。
日本における緑内障の失明率
緑内障は日本における失明原因の第1位または第2位を占めており、中途失明の大きな要因となっています。しかし、失明率そのものは治療法の進歩により低下傾向にあります。適切な治療を継続している場合、生涯にわたって実用的な視機能を保てる方が大多数です。
研究では、緑内障と診断された方のうち、両眼失明に至る割合は10年間で約3〜5%、20年間で約10〜15%程度と報告されています。ただし、この数字は診断時の病期や治療の継続状況によって大きく異なります。早期に発見され適切な治療を受けた方の失明率は大変低く、逆に進行した状態で発見された方や治療を中断した方では失明リスクが高まります。
また、両眼失明ではなく、片眼のみの視機能が著しく低下する場合も含めると、その割合はやや高くなりますが、日常生活に支障がない程度の視力を維持できる方が多いのも事実です。重要なのは、診断後の継続的な治療と定期的な経過観察です。
失明リスクを高める要因
緑内障による失明リスクを高める要因はいくつか知られています。診断時の病期が進行していること、眼圧が高いこと、視神経のダメージが大きいこと、治療への反応が不良であること、治療を中断してしまうことなどが挙げられます。
特に、自己判断で点眼薬の使用を中止したり、通院を怠ったりすることは、病状の進行を招く大きな要因です。緑内障の治療は長期にわたるため、症状が改善しないように感じられても、実際には進行を抑えている場合がほとんどです。治療効果は「これ以上悪くならない」ことで判断されるため、継続する意義を理解することが重要です。
また、片眼のみが失明に至った場合でも、もう片方の眼に対する治療を継続することが大変重要です。緑内障は両眼に発症することが多く、片眼の視機能が失われても、残った眼を守ることで日常生活の質を維持できます。
正常眼圧緑内障の場合、眼圧が正常範囲内であっても視神経がダメージを受けやすいため、眼圧をさらに下げる治療が必要になることがあります。治療目標は個々の患者さんの状態に応じて設定され、視野欠損の進行を抑えることを優先とします。
まとめ
緑内障は初期症状に乏しく、進行すると視野が失われる疾患ですが、早期発見と適切な治療により、生涯にわたって良好な視機能を維持することは十分に可能です。40歳を過ぎたら定期的な眼科検診を受け、リスク要因がある方は特に注意深く経過を観察してください。治療の継続が進行を抑える鍵であり、点眼薬や手術によって眼圧をコントロールすることで失明を防ぐことができます。緑内障は「治らない」疾患ですが、「進行を止められる」疾患です。不安や疑問があれば、眼科専門医に相談し、納得のいく治療を選択してください。



