日本で使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンと呼ばれるタイプで、完全な感染予防は困難ですが、感染した場合の症状軽減や重症化防止には一定の効果が期待できます。接種時期は流行期前の10月から12月が推奨されており、接種後約2週間で免疫が獲得されます。有効率は年によって変動しますが、概ね40%から60%程度とされています。
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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
予防接種の効果
日本で使用されているインフルエンザワクチンは、不活化ワクチンと呼ばれるタイプで、ウイルスを化学処理により感染力を失わせたものです。完全な感染予防は困難ですが、感染した場合の症状軽減や重症化防止には一定の効果が期待できます。
ワクチンの種類と接種スケジュール
毎年、世界保健機関の推奨に基づいて、その年に流行が予想される4つのウイルス株(A型2株、B型2株)が選定され、4価ワクチンとして製造されています。
接種時期は流行期前の10月〜12月が推奨されており、接種後約2週間で免疫が獲得されます。13歳以上では1回接種、13歳未満では2回接種(2週間〜4週間間隔)が基本となっています。妊娠中の方も接種可能で、妊婦への接種により生まれた赤ちゃんにも一定期間の免疫が移行することが知られています。
高齢者や基礎疾患のある方では、より強い免疫応答を得るために高用量ワクチンの使用が検討される場合があります。また、卵アレルギーのある方には、細胞培養ワクチンなどの代替選択肢も開発されています。接種前には医師との十分な相談により、個人の健康状態に応じた適切な判断を行うことが重要です。
ワクチンの有効性と限界
インフルエンザワクチンの有効率は年によって変動しますが、概ね40%〜60%程度とされています。この有効率は、ワクチン株と実際の流行株の一致度、接種を受けた人の年齢や免疫状態、流行の規模などにより影響を受けます。
ワクチンの効果持続期間は約5ヶ月程度で、接種後徐々に免疫レベルが低下していきます。このため、毎年の接種が推奨されています。また、ウイルスの抗原変化により、前年のワクチンでは十分な効果が期待できない場合があるため、最新の流行予測に基づいたワクチンの接種が重要です。
集団免疫効果も期待される効果の一つです。地域や集団における接種率が高まることで、未接種者も間接的に感染から守られる効果があります。特に乳児や免疫不全の方など、ワクチン接種ができない人々を守るためにも、可能な限り多くの人が接種を受けることが社会全体の利益となります。
まとめ
毎年冬になると私たちの生活に大きな影響を与えるインフルエンザですが、その流行メカニズムや適切な対策を理解することで、感染リスクを大幅に減らすことができます。特に学級閉鎖のような集団感染を防ぐためには、個人の予防意識の向上と社会全体での取り組みが欠かせません。日々の手洗いやマスク着用といった基本的な予防策から、ワクチン接種による免疫獲得まで、さまざまな方法を組み合わせることで効果的な予防が可能となるでしょう。