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『ギラン・バレー症候群』の“再発率”をご存じですか? 「後遺症」も医師が解説

 公開日:2025/11/10
『ギラン・バレー症候群』の“再発率”をご存じですか? 「後遺症」も医師が解説

ギラン・バレー症候群の予後は比較的良好で、約80%の患者さんは1年以内に歩行可能なレベルまで回復するとされています。しかし、重症度や病型により個人差があり、約10〜20%の患者さんには筋力低下や感覚障害などの後遺症が残ることがあります。ここでは、回復の時間経過や予後因子、長期的なフォローアップについて解説します。

田頭 秀悟

監修医師
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

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鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

予後と長期的な経過

予後は比較的良好ですが、重症度や病型により個人差があり、長期的なフォローアップが必要な方もいます。

回復の時間経過と予後因子

多くの方は発症後2〜4週間で症状がピークに達し、その後徐々に回復が始まります。軽症例では数週間から数ヶ月で日常生活に復帰できますが、重症例では半年以上のリハビリテーションが必要です。 予後不良因子としては、高齢、急速な進行、人工呼吸管理の必要性、軸索型、発症前の下痢症状などが挙げられます。逆に、若年、脱髄型、早期治療開始は良好な予後と関連します。 再発率は約3〜5%と低く、多くの方は再発の可能性が低いといわれています。ただし、長期的には易疲労性や軽度の筋力低下、感覚障害が残存することがあり、定期的な経過観察が推奨されます。

後遺症と生活の質

完全回復に至らなかった場合でも、多くの方は日常生活を営むことが可能です。後遺症としては、足のしびれや痛み、筋力低下、歩行時のふらつきなどが代表的です。これらは生活の質に影響を与えるため、対症療法やリハビリテーションの継続が有効です。 神経障害性疼痛に対しては、プレガバリンやガバペンチンなどの薬物療法が用いられることがあります。補助具(装具、杖、車椅子など)の活用により、移動能力や自立度を向上させることができます。 心理的な支援も重要で、患者会や支援団体への参加が、情報共有や精神的サポートの場となります。医療機関との連携を保ちながら、自分らしい生活を再構築していくことが目標となります。

まとめ

ギラン・バレー症候群は、感染後に突然発症する自己免疫性の末梢神経疾患であり、両側性の筋力低下や感覚障害を主症状とします。下肢から始まり上肢、体幹、顔面、呼吸筋へと進行する特徴的なパターンを示し、早期の診断と治療が重要です。免疫グロブリン療法や血漿交換療法により多くの方は回復に向かいますが、回復には時間を要し、後遺症が残ることもあります。男性にやや多い傾向がありますが、性別を問わず発症する可能性があります。力が入りにくい、しびれが続くといった症状に気づいたら、速やかに神経内科を受診することが推奨されます。

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