オーバードーズの問題を抱えている場合、適切な相談先を知り、支援を受けることが回復への第一歩となります。精神科や依存症外来といった医療機関から、精神保健福祉センターや民間支援団体まで、さまざまな相談窓口があります。ここでは、具体的な相談先と支援体制について紹介します。
プロフィールをもっと見る
福井大学医学部卒業。血清蛋白質と精神疾患の関係について研究をおこなう。日本精神科学会専門医。
オーバードーズに関する相談先と支援体制
オーバードーズの問題を抱えている場合、適切な相談先を知り、支援を受けることが回復への第一歩です。ここでは、具体的な相談先と支援体制について紹介します。
医療機関と専門外来
オーバードーズや薬物依存に関する治療は、精神科や心療内科で受けることができます。特に依存症を専門とする医療機関では、身体的な治療から心理社会的な支援まで、包括的なプログラムが提供されています。初診時には、詳しい問診と身体診察、必要に応じて血液検査や画像検査が行われ、患者さんの状態に応じた治療計画が立てられます。
依存症外来を設置している病院やクリニックでは、依存症に特化した治療プログラムが用意されています。個別のカウンセリングに加えて、集団療法や家族療法なども実施されます。また、デイケアプログラムを利用することで、日中は治療施設で過ごしながら夜間は自宅で過ごすという形態の治療も可能です。
かかりつけ医がいる場合は、まずそこで相談することも一つの方法です。かかりつけ医は患者さんの全体的な健康状態を把握しているため、適切な専門機関への紹介や、身体面のフォローアップを行うことができます。オーバードーズの問題を一人で抱え込まず、信頼できる医療者に相談することが重要です。
公的機関と民間支援団体
各都道府県には精神保健福祉センターが設置されており、薬物依存に関する相談を無料で受け付けています。電話相談や面接相談が可能で、匿名での相談にも応じています。専門の相談員が対応し、必要に応じて医療機関や支援施設の紹介も行います。また、家族向けの相談や家族教室も開催されており、相談内容は秘密が守られるため安心して利用できます。
保健所でも薬物依存に関する相談を受け付けています。保健師が相談に応じ、地域の医療機関や支援機関との連携を図ります。また、未成年の場合は、学校のスクールカウンセラーや教育相談センターも相談先となります。
民間の支援団体も重要な役割を果たしています。ダルク(DARC)は薬物依存症からの回復を支援する民間のリハビリテーション施設で、全国各地に設置されています。施設では、依存症から回復した先輩たちのサポートを受けながら、共同生活を通じて回復を目指します。入所型と通所型があり、患者さんの状態に応じて選択できます。
また、厚生労働省が運営する「依存症対策全国センター」のウェブサイトでは、依存症に関する情報や全国の相談機関のリストが掲載されています。24時間対応の電話相談窓口もあり、緊急時にも利用できます。SNSを通じた相談窓口も設置されており、若年層が相談しやすい環境が整備されつつあります。
オーバードーズは決して個人の意志の問題ではなく、適切な治療と支援によって回復可能な状態です。一人で悩まず、専門的な支援を受けることが、健康な生活を取り戻すための第一歩となります。早期に相談し、適切な治療を開始することで、より良い予後が期待できます。
まとめ
オーバードーズは市販薬や処方薬を過量摂取する行為で、身体・精神の両面に深刻な影響を及ぼす可能性があります。治療には身体管理、離脱症状への対応、認知行動療法などの心理社会的アプローチが必要です。精神保健福祉センターや依存症外来など、専門的な相談先を活用し、早期に適切な支援を受けることが回復への鍵となります。
オーバードーズに関する悩みや不安がある場合は、一人で抱え込まず、医療機関や相談窓口に連絡してください。適切な支援を受けることで、回復への道を歩むことができます。