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「狭心症」の見逃されやすい症状を医師が解説 胃痛・肩こりに隠れる“心臓のSOS”とは

 公開日:2025/11/16
狭心症の初期症状と早期発見のポイント

狭心症の初期段階では典型的な胸痛が現れないことも多く、軽微な症状から始まるため見逃されやすい傾向があります。早期に症状を捉えることで病気の進行を防ぎ、生命予後を改善することが可能です。ここでは初期症状の特徴や、特に女性や高齢者に多く見られる非典型的な症状について解説します。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

狭心症の初期症状と早期発見のポイント

狭心症の初期症状を見逃さないことは、病気の進行を防ぎ、生命予後を改善するために極めて重要です。以下では、初期症状の特徴について詳しく説明します。

軽微な症状から始まる病気の進行

狭心症の初期段階では、典型的な胸痛が現れない場合が多く、患者さんご自身も「ただの疲れ」や「年のせい」と考えがちです。初期症状としては、軽度の胸部不快感、胸のもやもや感、胸の重い感じなどの曖昧な症状から始まることが多いです。 これらの症状は日常生活の中で見過ごされやすく、特に高齢の方では加齢による身体力低下と混同されることがあります。また、糖尿病を患っている方では、神経障害により痛みを感じにくくなっているため、より注意深い観察が必要です。 初期の段階では、症状の持続時間も短く、軽い運動で現れても休息により速やかに改善するため、「大したことはない」と判断されがちです。しかし、この段階で適切な診断と治療を開始することで、病気の進行を大幅に遅らせることが可能です。

見逃しやすい非典型的症状

狭心症の症状は必ずしも典型的な胸痛として現れるとは限りません。特に女性、高齢者、糖尿病患者さんでは非典型的症状が多く見られます。これらの症状には、上腹部痛、吐き気、嘔吐、背部痛、左腕の痛み、顎の痛みなどがあります。 消化器症状として現れる場合、胃潰瘍や胆石症などの消化器疾患と間違われることがあります。また、首や肩の痛みとして現れる場合は、肩こりや頸椎疾患と混同される可能性があります。このような非典型的症状のため、狭心症の診断が遅れることも少なくありません。 女性では閉経後、エストロゲンの減少により冠動脈疾患のリスクが上昇します。疲労感、息切れ、胸部不快感といった症状で狭心症が始まることが多いです。これらの症状は更年期症状と似ているため、見過ごされやすいという特徴があります。

まとめ

狭心症は適切な診断と治療により症状の改善と予後の改善が期待できる疾患です。症状を見逃さず早期に医療機関を受診すること、危険因子の管理を継続すること、医師の指示に従って治療を続けることが重要です。胸の痛みや圧迫感などの心臓に関する症状でお困りの際は、循環器内科にご相談ください。

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