「狭心症」の息切れ・動悸が危険サイン?40〜50代が見逃しやすい症状とは
公開日:2025/11/16

狭心症では胸痛以外にも、息切れや呼吸困難、動悸といった症状が現れることがあります。これらは心筋への血流不足により心臓のポンプ機能が一時的に低下することで生じます。呼吸に関する症状や心拍数の変化がどのような機序で起こるのか、それぞれの症状がどのような臨床的意義を持つのかについて詳しく説明します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
目次 -INDEX-
狭心症に伴う呼吸困難と動悸
狭心症では胸痛以外にも、呼吸に関する症状や心拍数の変化が現れることがあります。これらの症状について詳しく解説します。息切れと呼吸困難の機序
狭心症発作時には、多くの患者さんが息切れや呼吸困難を経験されます。これは心筋への血流が不足することにより、心臓のポンプ機能が一時的に低下するためです。心臓が効率よく血液を送り出せなくなると、肺に血液が滞り、心臓が十分に血液を送り出せなくなることで、肺に血液が滞る「肺うっ血」が生じます。 この状態では肺でのガス交換が十分に行えなくなり、呼吸困難感が生じます。軽度の場合は「息が苦しい」程度ですが、重度になると「空気を吸い込めない」「溺れるような感覚」を訴える患者さんもいらっしゃいます。 呼吸困難は労作時により顕著に現れる傾向があり、平地歩行では問題なくても、階段昇降や坂道歩行で著明な息切れを感じるようになります。これは心臓への負荷が増加することで、心筋虚血がより顕著になるためです。動悸の種類と臨床的意義
狭心症に伴う動悸には、頻脈性と不整脈性の2つのタイプがあります。頻脈性動悸は、心拍数が正常より速くなることで起こります。これは心筋虚血により心臓が代償的により多く拍動しようとするためです。 不整脈性動悸では、心拍のリズムが不規則になります。狭心症発作時には心房細動、期外収縮、心室頻拍などの不整脈が起こることがあり、患者さんは「胸がドキドキする」「脈が飛ぶ」「心臓が止まりそう」といった症状を訴えられます。 これらの不整脈は心筋虚血による心筋の電気的不安定性が原因で、重篤な場合には心室細動などの致命的不整脈に移行する可能性もあります。そのため、狭心症に伴う動悸は慎重な評価と適切な治療が必要です。まとめ
狭心症は適切な診断と治療により症状の改善と予後の改善が期待できる疾患です。症状を見逃さず早期に医療機関を受診すること、危険因子の管理を継続すること、医師の指示に従って治療を続けることが重要です。胸の痛みや圧迫感などの心臓に関する症状でお困りの際は、循環器内科にご相談ください。参考文献