「狭心症」は生活習慣で予防できる? 医師が教える5つの改善ポイントとは
公開日:2025/11/24

狭心症の治療と再発予防において、生活習慣の改善は薬物療法と同等に重要な要素です。食事療法、運動療法、心臓リハビリテーションなど、具体的な改善方法について詳しく解説します。適切な生活習慣の実践により、症状の改善と病気の進行を防ぐことが期待できます。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
目次 -INDEX-
生活習慣改善と予防対策
狭心症の治療と再発予防において、生活習慣の改善は薬物療法や血行再建術と同等に重要です。以下では、具体的な改善方法について詳しく説明します。食事療法と栄養管理
狭心症の食事療法の基本は、動脈硬化を促進する要因を減らし、心血管保護作用のある栄養素を積極的に摂取することです。重要なのは脂質管理で、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の摂取を制限し、不飽和脂肪酸、特にω-3脂肪酸の摂取を増やすことが推奨されます。 具体的には、肉類の脂身、バター、クリーム、マーガリンなどの摂取を控え、魚類、特に青魚(サバ、イワシ、サンマなど)を週2回以上摂取することが望ましいとされています。また、オリーブオイル、ナッツ類、アボカドなどに含まれる一価不飽和脂肪酸も心血管保護作用があります。 塩分制限も重要で、1日6g未満(高血圧合併例では6g未満)が目標とされています。野菜・果物の摂取量増加により、カリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンの摂取を増やすことも推奨されます。アルコールについては、適量(男性で日本酒換算1合程度、女性でその半分)であれば心血管保護作用が期待できますが、過量摂取は有害です。運動療法と心臓リハビリテーション
適切な運動療法は狭心症患者さんにとって極めて有効な治療法です。有酸素運動により心機能改善、血管内皮機能改善、インスリン感受性向上、脂質代謝改善などの効果が期待できます。ただし、運動処方は個々の患者さんの病態に応じて慎重に決定する必要があります。 運動強度の設定には、運動負荷試験の結果を参考にします。一般的には心拍数の50-80%程度の中等度強度が推奨されます。運動の種類としては、ウォーキング、水中歩行、サイクリング、水泳などの有酸素運動が中心となります。週3-5回、1回30-60分程度の運動が理想的とされています。 心臓リハビリテーションは医学的評価に基づいた包括的なプログラムで、運動療法、患者教育、カウンセリングなどが組み合わされます。急性心筋梗塞やPCI後の患者さんでは、心臓リハビリテーションにより死亡率の改善、再入院率の低下、生活の質の向上が期待できることが多くの研究で示されています。まとめ
狭心症は適切な診断と治療により症状の改善と予後の改善が期待できる疾患です。症状を見逃さず早期に医療機関を受診すること、危険因子の管理を継続すること、医師の指示に従って治療を続けることが重要です。胸の痛みや圧迫感などの心臓に関する症状でお困りの際は、循環器内科にご相談ください。参考文献