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「アルツハイマー型認知症の原因」に関する研究とは?【医師監修】

 公開日:2025/11/19
アルツハイマー型認知症の原因に関する研究

近年の研究により、脳内の炎症反応や血管系の健康が病気の発症や進行に深く関わっていることが明らかになってきました。グリンファティック系と呼ばれる脳内の老廃物排出システムの発見や、睡眠の質との関係性など、新たな知見が次々と報告されています。これらの研究成果は、将来の治療法開発の基盤となっています。

伊藤 たえ

監修医師
伊藤 たえ(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

アルツハイマー型認知症の原因に関する研究

近年の研究により、アルツハイマー型認知症の原因についてより深い理解が得られています。新たな治療法開発の基盤となる重要な発見が続いています。

炎症と免疫系の役割

注目されているのが、脳内の炎症反応とアルツハイマー型認知症の関係です。従来、脳内の慢性炎症は病理学的変化の結果として起こる二次的な現象と考えられていましたが、現在では炎症自体が病気の進行を促進する重要な要因であることがわかってきています。

また、末梢の免疫系の状態も脳の健康に影響することがわかってきています。慢性的な全身の炎症状態は、血液脳関門の機能を低下させ、有害物質が脳内に侵入しやすくなります。このため、生活習慣病の管理により全身の炎症を抑制することが、認知症予防につながると考えられています。

血管系要因と脳血流

脳血管の健康がアルツハイマー型認知症の発症や進行に大きく関与することが明らかになっています。脳は全身の酸素消費量の約20%を使用する代謝の活発な臓器であり、わずかな血流低下でも機能に大きな影響を与えます。

近年注目されているのが、脳脊髄液の循環システムです。脳内には「グリンファティック系」と呼ばれる老廃物の排出システムがあり、睡眠中に特に活発に働くことがわかっています。この系の機能低下により、アミロイドβなどの有害なタンパク質の蓄積が促進される可能性が示されています。

睡眠の質と認知症の関係も重要な研究領域です。睡眠不足や睡眠の質の低下は、アミロイドβの蓄積を促進し、認知機能の低下を引き起こすことが実験的に証明されています。特に、深い眠り中に脳内の老廃物の排出が活発になるため、良質な睡眠の確保が認知症予防に重要と考えられています。

まとめ

アルツハイマー型認知症は、患者さんとご家族の人生に大きな影響を与える疾患です。しかし、適切な理解と支援により、尊厳を保ちながら、その人らしい生活を続けることが可能です。早期発見・早期対応により症状の進行を遅らせ、質の高いケアにより生活の質を維持することで、患者さんとご家族がより良い時間を過ごせるよう支援していくことが重要です。医療従事者、家族、地域が連携し、包括的な支援体制を構築し、社会全体でサポートしていく必要があります。

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