目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「インスタントラーメンを食べ続けると不足する栄養素」とは?【管理栄養士監修】

「インスタントラーメンを食べ続けると不足する栄養素」とは?【管理栄養士監修】

 公開日:2025/11/22
「インスタントラーメンを食べ続けると不足する栄養素」とは?【管理栄養士監修】

インスタントラーメンの栄養構成を詳しく見ると、現代の方々の食生活における課題が浮き彫りになります。炭水化物と脂質が中心で、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しやすい傾向があるため、栄養素のバランスと不足しがちな成分について理解することが大切です。ここでは、三大栄養素の比率や偏り、ビタミンとミネラルの不足による健康リスクについて詳しく解説します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

プロフィールをもっと見る
帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

インスタントラーメンの栄養組成と健康への影響

インスタントラーメンの栄養構成を詳しく見ると、現代の方々の食生活における課題が浮き彫りになります。栄養素のバランスと不足しがちな成分について理解することが大切です。

三大栄養素のバランスと偏り

三大栄養素の比率は製品により異なりますが、炭水化物が多く、タンパク質は少なめ、脂質はやや高めの傾向があります。成分表示の確認と、卵・鶏むね肉・豆腐などの追加でタンパク質約15〜20gを補うと満腹感が持続します。 炭水化物は主に麺に含まれ、1食あたり50から60g程度が含まれます。麺の主成分は精製小麦由来のデンプンで、食物繊維が少なめです。食後血糖が上がりやすいため、野菜や海藻、きのこを加えて食物繊維を補うと良いでしょう。そのため、エネルギー源としては機能しますが、腸内環境の改善や血糖値の安定化といった健康効果は期待しにくい面があります。 タンパク質は1食あたり8から12g程度と少なく、成人の1日推奨摂取量(体重1kgあたり0.8から1.0g)を考慮すると、インスタントラーメンだけでは到底足りません。タンパク質は筋肉、皮膚、酵素、ホルモンなどの構成要素として不可欠な栄養素であり、不足すると免疫機能の低下や筋肉量の減少につながる可能性があります。

ビタミンとミネラルの不足による健康リスク

インスタントラーメンには、一部の栄養素は含まれるものの、ビタミンA、C、B群、カルシウム、鉄、食物繊維などが不足しやすい点が課題です。 ビタミンAは視覚機能や皮膚の健康維持に必要で、不足すると夜盲症や皮膚の乾燥を引き起こす場合があります。ビタミンCは抗酸化作用を持ち、免疫機能をサポートしますが、インスタントラーメンにはほぼ含まれていません。ビタミンB群はエネルギー代謝に関わる重要な栄養素で、不足すると疲労感や集中力の低下を招く可能性があります。 カルシウムは骨や歯の形成に不可欠で、不足すると骨粗鬆症のリスクが高まります。鉄は赤血球の生成に必要で、不足すると貧血を引き起こし、倦怠感や息切れなどの症状が現れることがあります。食物繊維は1食2〜3g程度にとどまる製品が多く、DRI(2020版)の目標量(男性21g以上、女性18g以上)には不足しがちです。海藻・きのこ・野菜100〜200gの追加で補いましょう。

まとめ

インスタントラーメンは手軽で美味しい食品ですが、高カロリー、高脂質、高塩分という特性から、頻繁な摂取は体重増加や生活習慣病のリスクを高める可能性があります。栄養バランスの偏りも大きく、ビタミン、ミネラル、食物繊維、タンパク質が不足しがちです。 適切な知識を持ち、野菜やタンパク質を追加する、スープを残す、ノンフライ麺を選ぶなどの工夫を行うことで、健康への悪影響を抑えることができます。食べる頻度を週に1から2回程度に抑え、必ず副菜や追加の食材で栄養バランスを整えることが大切です。 体重管理や健康状態が気になる方は、食生活全体を見直し、必要に応じて医療機関や栄養士への相談をご検討ください。インスタントラーメンを完全に避ける必要はありませんが、食事全体のバランスを意識することで、健康的な食生活を維持することが可能です。

この記事の監修管理栄養士

注目記事