意外と知らない!痛風の原因となるとなる代謝異常医師が解説

痛風の根本原因は、体内での尿酸代謝の異常にあります。プリン体の分解によって生じる尿酸が過剰に生成されたり、排泄されにくくなることで血中に蓄積します。これが高尿酸血症を引き起こし、関節内で結晶化すると痛風発作が発生します。本章では、代謝異常のメカニズムをわかりやすく解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
痛風の原因となる代謝異常
痛風の根本原因は、血液中の尿酸値が高くなる「高尿酸血症」です。尿酸は、細胞の成分であるプリン体が分解されてできる物質で、通常は腎臓から尿中に排泄されます。
しかし、尿酸が過剰に作られたり排泄がうまくいかなかったりすると、血液中に尿酸が溜まり、結晶となって関節に沈着します。これを免疫細胞が攻撃することで炎症が起こり、激しい痛みを伴う痛風発作が発生します。
尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断され、放置すると発作を繰り返すリスクが高まります。原因は大きく「産生過剰型」と「排泄低下型」に分かれ、食生活や代謝異常、腎機能の低下、遺伝的要因などが関係します。多くの場合、これらが複合的に作用しています。
プリン体代謝と尿酸の生成
プリン体は、DNAやエネルギー代謝を担うATPなどの構成成分で、体内で常に生成・分解されています。細胞の代謝や食事によって生じたプリン体は肝臓で代謝され、最終的に尿酸として血液中に溶け込みます。
健康な状態では産生と排泄のバランスが取れていますが、乱れると尿酸が蓄積します。尿酸は約7割が腎臓から尿中へ、3割が腸から便として排出されますが、腎臓での再吸収を調整する遺伝的要因や生活習慣の違いにより、尿酸値には個人差が生じます。
尿酸結晶と痛風発作
尿酸値が高い状態が続くと、関節液中で尿酸が結晶化し、軟骨や滑膜に沈着します。通常は症状がありませんが、脱水や過度な飲酒、激しい運動などで尿酸値が急変すると、結晶が動き出し、免疫反応によって炎症が起こります。
関節は赤く腫れ、熱を持ち、「風が吹いても痛い」と言われるほどの強い痛みに襲われます。発作は数日〜1週間で治まることが多いものの、治療を怠ると再発を繰り返し、関節変形や痛風結節(尿酸の塊)を引き起こす可能性があります。
まとめ
痛風は、適切な知識と治療により十分にコントロール可能な疾患です。尿酸値が高いと指摘された方や、痛風発作を経験した方は、早期に専門医を受診し、総合的な評価を受けることが推奨されます。生活習慣の見直しと薬物療法を組み合わせることで、痛風発作の再発を防ぎ、関節や腎臓の健康を長期にわたって守ることができます。痛みや不安を抱えたまま過ごすのではなく、専門家の支援を受けながら、前向きに治療に取り組むことが大切です。健康診断の結果を軽視せず、早めの相談と継続的な管理を心がけることで、質の高い生活を維持できます。