あなたは大丈夫!? 尿酸値が上昇する生活習慣と改善ポイントを医師が解説

痛風は、日常の習慣が大きく関係する生活習慣病の一種です。外食や飲酒が多い方、運動不足や不規則な生活を続けている方は、尿酸値が上がりやすくなります。さらに、喫煙や夜更かしも腎機能に悪影響を与えます。ここでは、痛風リスクを高めるライフスタイルと、改善のポイントを紹介します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
痛風になりやすい方のライフスタイル
痛風の発症には、職業や日常の行動パターンも影響します。営業職や接待の多い職種では、外食やアルコール摂取の機会が増え、プリン体の過剰摂取につながりやすい環境があります。また、不規則な食事時間や夜遅い食事は、体内時計を乱し代謝機能に悪影響を及ぼします。
デスクワーク中心の仕事では、長時間座ったままの姿勢が続き、運動不足に陥りがちです。通勤時間が短く歩く機会が少ない方や、休日も自宅で過ごすことが多い方は、エネルギー消費が少なく肥満リスクが高まります。こうした生活習慣は、尿酸値の上昇を招く土壌となります。
飲酒習慣についても、毎日の晩酌が習慣化している方や、週末にまとめて大量飲酒をする方は、尿酸値が慢性的に高い状態になりやすいです。喫煙も血管機能に悪影響を与え、腎機能の低下を招く可能性があるため、痛風リスクを高める要因のひとつとされています。生活全般を見直し、リスクを減らす行動を意識的に取り入れることが、痛風予防には不可欠です。
年齢と痛風発症の関連
痛風の発症年齢は、男性では30代から50代にピークがあります。この年代は、仕事や家庭での責任が増し、ストレスや飲酒機会が多くなる時期でもあります。体力の衰えを感じ始める時期でもあり、運動不足や体重増加が顕著になることも、発症リスクを高める要因です。
若年層でも、食生活の乱れや運動不足、アルコール摂取が習慣化している場合は、20代で痛風を発症するケースがあります。特に、肥満傾向が強い方や家族歴がある方は、若いうちから尿酸値に注意する必要があります。
女性では、閉経を迎える50代以降に痛風の発症が増えます。女性ホルモンの減少により尿酸の排泄能力が低下し、尿酸値が上昇しやすくなるためです。高齢になるほど腎機能も低下するため、男女ともに年齢が上がるにつれて痛風リスクは高まります。定期的な健康診断で尿酸値を確認し、早期に生活習慣の改善や治療を開始することが、重症化を防ぐ鍵となります。
遺伝的要因と家族歴
痛風には遺伝的要因が関与しており、家族に痛風の方がいる場合、発症リスクが高まることが知られています。尿酸の代謝や排泄に関わる遺伝子の変異が、尿酸値の上昇に影響を与えるためです。特に、親や兄弟に痛風の方がいる場合、自身も尿酸代謝に何らかの特性を持っている可能性があります。
遺伝的に尿酸の排泄能力が低い体質の方は、食事やアルコール摂取に注意していても尿酸値が高くなりやすく、痛風を発症しやすい傾向があります。このような方は、若いうちから定期的に尿酸値を測定し、生活習慣の改善や必要に応じた薬物療法を早期に開始することが推奨されます。
遺伝的要因があるからといって、必ず痛風を発症するわけではありません。生活習慣の改善により、発症を予防したり遅らせたりすることは十分可能です。家族歴がある方は、自身の体質を理解し、予防的な対策を講じることで、痛風のリスクを大きく減らすことができます。
まとめ
痛風は、適切な知識と治療により十分にコントロール可能な疾患です。尿酸値が高いと指摘された方や、痛風発作を経験した方は、早期に専門医を受診し、総合的な評価を受けることが推奨されます。生活習慣の見直しと薬物療法を組み合わせることで、痛風発作の再発を防ぎ、関節や腎臓の健康を長期にわたって守ることができます。痛みや不安を抱えたまま過ごすのではなく、専門家の支援を受けながら、前向きに治療に取り組むことが大切です。健康診断の結果を軽視せず、早めの相談と継続的な管理を心がけることで、質の高い生活を維持できます。