痛風と食事は切っても切れない関係があります。プリン体を多く含む食品やアルコールを摂りすぎると尿酸値が上がり、発作の原因になります。一方で、野菜や乳製品などプリン体が少ない食材をうまく取り入れれば、尿酸の排泄を助けて予防につながります。ここでは、食事が尿酸値に与える影響を詳しく解説します。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
痛風と食べ物の関係
痛風は、体内の尿酸が増えすぎて関節内に結晶化し、炎症を起こすことで発症します。尿酸は「プリン体」という成分が分解されてできる物質で、摂りすぎや排泄機能の低下によって血中に蓄積します。
食事内容は尿酸値に大きく影響し、プリン体を多く含む食品を日常的に食べると痛風を引き起こすリスクが高まります。
プリン体はレバーや白子、エビ、イワシ、カツオなどに多く含まれ、特にビールなどのアルコール類も尿酸値を上げる要因です。反対に、野菜・海藻類・乳製品はプリン体が少なく、バランスの取れた食生活が痛風予防につながります。
プリン体を多く含む食品
プリン体が多いのは、動物の内臓や魚卵、干物など細胞密度の高い食品です。代表的なものは鶏・豚レバー、白子、あん肝、イワシの干物、カツオ、マグロなどです。
また、エビやカニなどの甲殻類、赤身肉も摂りすぎには注意が必要です。完全に避ける必要はありませんが、量と頻度を控えめにし、他の食材と組み合わせて食べることが大切です。
食事全体のカロリーや脂質・糖質のバランスも意識することで、尿酸の代謝を助けることができます。
プリン体が少ない食品と食習慣
乳製品、卵、野菜、海藻類などはプリン体が少なく、一部の研究では乳製品が尿酸値を下げる可能性が示されています。バランスよく摂ることで、尿酸の排泄が促されやすくなります。牛乳やヨーグルトは特におすすめです。
野菜や乳製品は尿をややアルカリ性に傾けやすく、尿酸の溶解・排泄を助けます。
食習慣としては、規則正しい3食を心がけ、極端な空腹や無理なダイエットを避けることが重要です。禁忌がなければ、水分を1日2リットル程度摂ることで尿酸が排泄されやすくなります。心不全や高度の腎機能低下がある場合は主治医と相談してください。また、アルコールは控えめにし、ビールなどプリン体を多く含むものは少量にとどめましょう。
まとめ
痛風は、適切な知識と治療により十分にコントロール可能な疾患です。尿酸値が高いと指摘された方や、痛風発作を経験した方は、早期に専門医を受診し、総合的な評価を受けることが推奨されます。生活習慣の見直しと薬物療法を組み合わせることで、痛風発作の再発を防ぎ、関節や腎臓の健康を長期にわたって守ることができます。痛みや不安を抱えたまま過ごすのではなく、専門家の支援を受けながら、前向きに治療に取り組むことが大切です。健康診断の結果を軽視せず、早めの相談と継続的な管理を心がけることで、質の高い生活を維持できます。