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「くも膜下出血に伴うめまいの特徴」とは 耳の病気との比較を医師に聞く

 公開日:2025/12/08
くも膜下出血に伴うめまいの病態生理

めまいを起こす病気はさまざまで、原因を正確に見極めることが重要です。良性発作性頭位めまい症やメニエール病など、耳の病気によるめまいと、くも膜下出血などの脳血管障害によるめまいとの違いについて解説します。中枢性か末梢性かを判断する手がかりをお伝えします。

伊藤 たえ

監修医師
伊藤 たえ(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

くも膜下出血のめまいと別の疾患によるめまいの鑑別

めまいを起こす病気はさまざまで、原因を正確に見極めることが大切です。めまいの性質(回る感じ・ふわふわする感じ)や一緒に出る症状から、ある程度の見当をつけることができます。

良性発作性頭位めまい症との違い

良性発作性頭位めまい症は、耳の奥(内耳)にある平衡感覚のセンサー「耳石(じせき)」がずれて起こる病気です。中高年の方に多く、頭を特定の向きに動かしたときに突然グルグル回るようなめまいが数秒〜数十秒続きます。
このめまいは何度も繰り返されますが、頭痛や意識障害は伴わず、しばらく休むと落ち着くのが特徴です。

一方、くも膜下出血によるめまいは頭の動きとは関係なく持続的に起こり、激しい頭痛や吐き気、意識がぼんやりするなどの症状を伴うことがあります。
また、良性発作性頭位めまい症では耳鳴りや難聴は起こりませんが、内耳の障害によるめまいでは耳の症状が出ることがあるため、この違いも診断の手がかりとなります。

メニエール病や前庭神経炎との相違

メニエール病は、内耳の中にあるリンパ液が過剰にたまることで起こる病気です。回転性のめまいに加え、耳鳴り・耳が詰まった感じ・難聴が同時に現れます。めまいの発作は30分〜数時間ほど続き、発作を繰り返すうちに聴力が少しずつ低下することがあります。

前庭神経炎は、ウイルス感染などが原因で平衡感覚を伝える神経(前庭神経)に炎症が起こる病気です。数日間続く激しいめまいが特徴ですが、聴力は保たれるのが特徴です。

これらの病気では、頭痛や意識の異常を伴わない点がくも膜下出血と大きく異なります。
くも膜下出血では耳の症状はほとんどなく、強い頭痛がめまいより先に起こることが多いです。めまいが主な症状でも、頭痛・しびれ・ろれつの回りにくさなどの神経症状を伴う場合は、脳の障害による「中枢性めまい」の可能性があるため、速やかに医療機関で画像検査(CTやMRI)を受けることが重要です。

脳梗塞や脳出血との関連性

めまいを伴う脳血管障害としては、くも膜下出血以外に脳梗塞や脳出血があります。小脳梗塞や脳幹梗塞ではめまいが初発症状となることがあり、歩行時のふらつきや四肢の運動麻痺を伴うことがあります。脳出血では頭痛とともに片麻痺や感覚障害が急速に進行し、意識レベルが低下することがあります。

これらの疾患は発症様式や随伴症状によってある程度鑑別できますが、最終的には画像検査による確定診断が必要です。CT検査やMRI検査では出血の位置や脳梗塞の範囲を詳細に評価でき、迅速な診断と治療方針の決定につながります。めまいを伴う頭痛や神経症状が現れた場合、原因が何であれ緊急性の高い状態である可能性を考慮し、躊躇せずに医療機関を受診することが重要です。

まとめ

くも膜下出血は突然発症する重篤な疾患であり、激しい頭痛、めまい、意識障害といった症状が特徴的です。痛みの性質や発症様式、随伴症状を正しく理解することで、早期発見と迅速な治療開始が可能になります。警告頭痛やいつもと異なる頭痛、めまいを伴う強い頭痛を経験した際には、躊躇せず脳神経外科や神経内科を受診し、専門の医師の診察と画像検査を受けることが大切です。

この記事の監修医師

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