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「くも膜下出血」と「片頭痛」の決定的な違いを医師が解説 “突然の激痛”は要注意

 公開日:2025/12/02
くも膜下出血と別の頭痛疾患の痛みの違い

くも膜下出血による頭痛を、片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛と見分けることは、適切な対応への第一歩です。それぞれの頭痛疾患の特徴と、くも膜下出血との明確な違いについて解説します。命に関わる二次性頭痛を見逃さないための知識をお伝えします。

伊藤 たえ

監修医師
伊藤 たえ(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

くも膜下出血と別の頭痛疾患の痛みの違い

くも膜下出血による頭痛を別の頭痛と見分けることが、適切な対応につながります。

片頭痛との鑑別ポイント

片頭痛は若年から中年の女性に多く見られる慢性的な頭痛疾患で、拍動性の痛みが片側に現れることが典型的です。片頭痛では前兆として視野の一部が見えにくくなったり、ギザギザの光が見えたりする症状が先行することがあります。痛みは数時間から数日かけて徐々に強まり、暗い静かな部屋で安静にすると軽快することが多いです。 一方、くも膜下出血は突然に強度の高い痛みが出現し、安静にしても改善しません。片頭痛では日常生活に支障はあるものの意識障害を伴うことはまれですが、くも膜下出血では意識レベルの低下が見られることが多いです。ただし、片頭痛の既往がある方が新たに激しい頭痛を経験した場合、いつもの頭痛と決めつけずに、痛みの性質が異なるかどうかを慎重に評価する必要があります。

緊張型頭痛や群発頭痛との相違点

緊張型頭痛は頭全体が締めつけられるような鈍い痛みが特徴で、ストレスや長時間の同じ姿勢によって悪化することがあります。痛みは軽度から中等度で、日常生活を継続できることが多く、くも膜下出血のような激痛とは明確に異なります。 群発頭痛は片側の眼の奥に激しい痛みが周期的に繰り返し現れる疾患で、数週間から数か月の間、毎日同じ時間帯に発作が起こります。 群発頭痛の痛みは非常に強いものの、発作は15分〜3時間程度で自然に軽快し、発作と発作の間は無症状です。くも膜下出血では一度発症すると痛みが持続し、自然に消失することはありません。また、群発頭痛では意識障害や嘔吐を伴うことはまれで、この点も鑑別の目安になります。

二次性頭痛としてのくも膜下出血の位置づけ

頭痛は大きく一次性頭痛と二次性頭痛に分類されます。一次性頭痛は頭痛そのものが病気である片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などを指し、生命に危険が及ぶことはまれです。一方、二次性頭痛は何らかの原因疾患があって生じる頭痛で、くも膜下出血はその代表的なものです。 二次性頭痛の中でもくも膜下出血は緊急性が高く、迅速な診断と治療を要します。突然発症した激しい頭痛、これまで経験したことのない頭痛は「警告頭痛」と呼ばれ、二次性頭痛の可能性を考えて速やかに医療機関を受診すべき症状です。くも膜下出血では発症前に軽い警告頭痛が数日から数週間前に起こることもあり、軽視せずに専門医の診察を受けることが重要です。

まとめ

くも膜下出血は突然発症する重篤な疾患であり、激しい頭痛、めまい、意識障害といった症状が特徴的です。痛みの性質や発症様式、随伴症状を正しく理解することで、早期発見と迅速な治療開始が可能になります。警告頭痛やいつもと異なる頭痛、めまいを伴う強い頭痛を経験した際には、躊躇せず脳神経外科や神経内科を受診し、専門の医師の診察と画像検査を受けることが大切です。

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