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「橋本病」が疑われるとどんな「検査」が行われる?【医師監修】

 公開日:2025/12/15
橋本病の診断に必要な検査

橋本病の診断には、血液検査や画像検査を組み合わせた総合的な評価が必要です。甲状腺機能を示すホルモン値や自己抗体の測定、超音波検査による甲状腺の形態評価などが行われます。それぞれの検査が何を調べるのか、どのような結果が診断の根拠となるのかを詳しく解説します。

濵﨑 秀崇

監修医師
濵﨑 秀崇(医師)

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東京大学理学部卒業、広島大学医学部卒業。国立国際医療研究センター病院、国府台病院勤務を経て、2024年9月より「うるうクリニック関内馬車道」に勤務。糖尿病を専門に、内科疾患および内分泌疾患を幅広く診療している。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本体力医学会評議員。

橋本病の診断に必要な検査

橋本病の診断には、複数の検査を組み合わせて総合的に判断します。血液検査や画像検査といった客観的な検査データが診断の根拠となります。

血液検査による甲状腺機能評価

血液検査は橋本病の診断において基本的かつ重要な検査です。主に測定されるのは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、遊離サイロキシン(FT4)、遊離トリヨードサイロニン(FT3)の3つです。これらの値により甲状腺機能の状態を評価します。

橋本病で甲状腺機能低下症を発症している場合、TSHは高値を示し、FT4やFT3は低値となります。TSHは脳下垂体から分泌されるホルモンで、甲状腺ホルモンが不足すると、それを補おうとして分泌が増加します。つまりTSHの上昇は、甲状腺機能低下症の存在を示す敏感な指標です。

潜在性甲状腺機能低下症と呼ばれる段階では、TSHのみが軽度上昇し、FT4とFT3は正常範囲内にあります。この段階では症状が軽度か無症状のことも多いですが、将来的に顕性の機能低下症に進行する可能性があるため、定期的なフォローアップが推奨されます。

橋本病の経過中、一時的に甲状腺機能が高くなることもあります。これは甲状腺細胞が破壊される際に、細胞内のホルモンが血中に放出されるためです。この場合、TSHは低値、FT4やFT3は高値を示しますが、バセドウ病とは異なり一過性で、2〜3ヶ月以内に甲状腺機能は正常化することが多いです。その後、機能低下症に陥る方もいるので注意が必要です。 

自己抗体検査と画像診断

橋本病の確定診断には、自己抗体の測定が重要です。抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)と抗サイログロブリン抗体(抗Tg抗体)が主に測定されます。これらの抗体が陽性であれば、自己免疫性甲状腺疾患の存在を示します。

抗体の力価(濃度)が高いほど、甲状腺の炎症が強く、機能低下が進行しやすい傾向があるといわれています。ただし、抗体価と症状の重症度が必ずしも一致するわけではありません。治療による抗体価の変化も個人差が大きく、抗体価自体を治療目標とすることはありません。

超音波(エコー)検査は、甲状腺の大きさや内部構造を評価するために行われます。橋本病では、甲状腺全体がびまん性に腫大し、内部エコーが不均一で低エコー像を示すことが特徴的です。甲状腺内部に網目状の線維化や小さな低エコー領域が散在する所見も見られます。

超音波検査では、甲状腺結節(しこり)の有無も確認します。橋本病の方では、甲状腺エコー検査で小さな結節が見つかることがあり、乳頭がんが併存する例も報告されています。ただし『橋本病ががんを増やす』と明確に証明されているわけではありません。結節が見つかった場合には細胞診などの追加検査が必要になることがあります。

まとめ

橋本病は適切な診断と治療により、日常生活への支障を最小限に抑えることができます。疲労感やむくみといった症状が続く場合や、家族に甲状腺疾患の方がいる場合には、甲状腺機能の検査を受けることが推奨されます。早期発見と継続的な治療により、良好な生活の質を維持できる疾患です。気になる症状がある方は、内科や内分泌内科を受診されることをおすすめします。

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