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「パーキンソン病」はどのように進行するのかご存じですか? 「姿勢」や「歩き方」で進行度がわかる?

 公開日:2025/11/25
パーキンソン病の進行段階と特徴

パーキンソン病は時間の経過とともに症状が進行する疾患であり、その進行度を客観的に把握するための評価システムが確立されています。Hoehn-Yahr分類やUPDRSといった評価スケールを用いることで、現在の病気の状態を正確に把握し、適切な治療方針を立てることが可能になります。ここでは、病気の進行を評価する方法と、各段階における症状の特徴について詳しくご説明します。

田頭 秀悟

監修医師
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

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鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

パーキンソン病の進行段階と特徴

パーキンソン病は進行性の疾患であり、時間とともに症状が悪化していきます。病気の進行度を客観的に評価するために、いくつかの分類システムが用いられています。

Hoehn-Yahrの重症度分類

広く使用されているのが「Hoehn-Yahr分類」です。これは1967年に提唱された分類システムで、症状の程度と日常生活への影響度に基づいて、病気を5段階に分類しています。 ステージ1は軽度の状態で、症状は身体の片側のみに現れます。軽い震えや軽度の動作緩慢が見られますが、日常生活にはほとんど支障がありません。多くの場合、本人や家族が症状に気づかないこともあります。この段階では、姿勢や歩行には明らかな異常は見られません。 ステージ2では症状が両側に現れますが、バランス障害はまだありません。両手の震えや両側の筋強剛が見られ、歩行や姿勢に軽度の変化が現れ始めます。日常生活への影響も軽度で、仕事や家事は継続可能ですが、動作に時間がかかるようになります。 ステージ3は中等度の状態で、軽度から中等度のバランス障害が現れます。方向転換時のふらつきや、軽く押されたときのバランス不安定が見られますが、まだ自立した生活は可能です。ただし、一部の日常動作に介助が必要になることがあります。 ステージ4では重度の障害が現れ、歩行には介助が必要になります。立っていることは可能ですが、支えなしでは不安定です。日常生活の多くの場面で介助が必要となり、一人暮らしは困難になることが多くなります。 ステージ5は重度の状態で、車椅子または寝たきりの状態となります。立位保持は不可能で、日常生活の全般にわたって介助が必要です。嚥下障害や認知機能の低下も著しくなることが多くあります。

UPDRS(統一パーキンソン病評価スケール)

より詳細な評価には「UPDRS」が用いられます。これは4つの部分から構成される包括的な評価システムです。 パートIは精神機能、行動、気分を評価し、認知機能、幻覚、うつ状態などの非運動症状を詳細に評価します。パートIIは日常生活動作を評価し、話す、食事、更衣、歩行、衛生管理などの具体的な活動能力を点数化します。 パートIIIは運動機能の客観的評価で、震え、筋強剛、動作緩慢、歩行、姿勢反射などを医師が直接観察して点数を付けます。パートIVは治療の合併症を評価し、薬効の変動や不随意運動の程度を記録します。 これらの評価スケールを用いることで、病気の進行度を客観的に把握し、適切な治療方針を立てることができます。また、治療効果の判定や、病気の進行速度の評価にも用いられます。

まとめ

パーキンソン病は複雑で多面的な疾患ですが、正しい知識と適切な医療サポートがあれば、病気と上手に付き合いながら質の高い生活を長期間維持することが可能です。症状の早期発見、適切な診断と治療、継続的なケアが重要であり、患者さんとその家族が希望を持って歩んでいけるよう、医療従事者をはじめとする多くの支援者が連携してサポートしています。

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