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「パーキンソン病の発症年齢」は60代がピーク? 年代別リスクを医師が徹底解説

 公開日:2025/11/24
パーキンソン病になりやすい方の年齢・性別特性

パーキンソン病の発症には、年齢や性別による明確な傾向が認められています。加齢とともに発症リスクは高まり、特に60歳代以降で患者さんが増加する一方、50歳未満で発症する若年性のケースも存在します。また、男性の方が女性よりも発症率が高いことも知られています。このセクションでは、年齢層や性別による発症パターンの違いと、それぞれの特徴について詳しく解説します。

田頭 秀悟

監修医師
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

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鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

パーキンソン病になりやすい方の年齢・性別特性

パーキンソン病の発症には明確な傾向があり、年齢、性別、人種などの人口統計学的特徴が重要な関与要因となっています。

年齢による発症パターン

パーキンソン病は典型的には加齢とともに発症リスクが高まる疾患です。一般的な発症年齢は60歳代です。年齢とともに有病率は大きく上昇し、特に65歳以上では有病率が高く、おおむね10万人あたり約1000人の患者さんがいるとされています。
50歳未満で発症する「若年性パーキンソン病」も存在します。これは全患者さんの約5〜10%を占め、40歳代での発症も珍しくありません。若年性パーキンソン病では、遺伝的要因の関与が強く疑われ、家族歴のある方の割合も高くなります。
若年発症の場合、病気の進行が緩やかである傾向があります。また、薬物治療への反応は良好ですが、長期間の治療により運動合併症(薬効の変動や不随意運動)が現れやすいという特徴があります。これは、長期間にわたって治療を継続する必要があるためです。
一方で、80歳を超えてから発症する高齢発症例もあります。このような場合、認知機能の低下や幻覚などの非運動症状が早期から現れやすく、薬物治療に対する反応も若年発症例と比べて限定的であることが多いとされています。

性別と発症リスク

パーキンソン病は、男性の発症率が高いとされています。この性差の原因は完全には解明されていませんが、ホルモンや環境要因が関係している可能性があります。
職業的な環境曝露の違いも性差に影響している可能性があります。男性は女性と比べて農薬や重金属、有機溶媒などの有害物質に曝露される機会が多い職業に従事することが多く、これが発症リスクの違いに寄与している可能性があります。
症状の現れ方にも性差があることが報告されており、女性では震えが主体となることが多く、男性では筋強剛や動作緩慢が目立つ傾向があります。また、女性では非運動症状、特にうつ症状や不安症状が強く現れやすいとする研究もあります。

まとめ

パーキンソン病は複雑で多面的な疾患ですが、正しい知識と適切な医療サポートがあれば、病気と上手に付き合いながら質の高い生活を長期間維持することが可能です。症状の早期発見、適切な診断と治療、継続的なケアが重要であり、患者さんとその家族が希望を持って歩んでいけるよう、医療従事者をはじめとする多くの支援者が連携してサポートしています。

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